5.考察(独自の予想)


 現在、私たちは日常生活において何の抵抗もなく現金を使っている。それは、現金が
a)流通性;全国どこでも使うことができる。

b)連続譲渡性;他人から受け取ったものをそのまま次の人への支払いに充てることができる。

c)汎用性;プリペイドカードなどと違い何にでも購入することができる。

d)完了性;小切手、クレジットカード、銀行振込などと違い後処理が不要である。

e)安全性;紙幣や硬貨の偽造はきわめて困難である。

f)匿名性;誰が、何時、何処で、何の目的に使ったか特定できずプライバシの保護につながる。

などといった便利な性質を持っているからである。
しかし、現金にも短所がある。それは


g)遠隔地への送金の不便さ;現金を遠隔地に送る場合には書留や振込みなどといった面倒な処理が必要であり、所定場所でその処理を行わなくてはいけない。

f)保存にかかるコスト;安全な場所に保存しなくてはいけなく、また商店などにおいては利子のつかない現金を所持しておかなくてはいけない。

g)環境破壊;紙幣用の高品質紙の大量使用は森林資源の破壊を助長している。

 もし、既存の現金の長所をもち、その短所を補う新しい手段が考え出されたとすれば非常に便利なものになるだろう。それが、まさに本格化されようとしている。

 4-3でも記述したが、電子マネーにも多くの問題がある。しかしこのような問題があるとしても、電子マネーを用いた電子決済方式が今後ますます普及していくことは、確かなことである。それは、現在多くの場所で行われているプログラムを見れば明らかである。このように多くの問題を抱えつつも用いられるのは電子マネーを用いることにより得られる資金的、時間的利益が、それを用いないとき時の利益よりははるかに大きいからである。

 電子マネーが導入され普及するためには、それぞれの人々の権利を確保し、経験を積み重ね実用に耐えうるシステムを作り上げることが大切である。また、消費者の認識を高めることも大切なことであると考える。



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