4.ISPとIPP



 プロバイダが手がけるべきサービスは多種多様であり、単独の組織では全てを網羅することが困難だという現実がある。そのような状況の中で、プロバイダの守備範囲についていくつかの区分けをして表現することが一般的になりつつある。現在普及しつつあるのは、インターネットへの接続サービスをIPパケットレベルとサーバレベルの2つに分けて、それぞれを別種のプロバイダとして定義するやり方である。

 インターネットへのIPパケットレベルでの接続性を提供するプロバイダを「インターネットサービスプロバイダ」(ISP)と呼ぶ。これに対して、インターネット上にWWWサーバなどのシステム資源を常時接続しておいて、それらを利用者に貸して常時接続の環境構築を支援するプロバイダを「インターネットプレゼンスプロバイダ」(IPP)と呼ぶ。ISPのことを「アクセスプロバイダ」、IPPのことを「コンテンツプロバイダ」と呼ぶ場合もある。

 プロバイダという言葉は、元来通信サービスとしてのISPの部分を指すことが一般的だった。ISPの数が少なかったころは、IPPの守備範囲のISPを運営する組織が兼ねていた。現在のようにISPの数が急激に増えると、既存のISPのサービスを利用してIPPのサービスを利用してIPPのサービスを提供しようという動きもかなり盛んになってきている。

 ISPとIPPの違いは、情報を通過させるサービスと情報を蓄積提供するサービスの違いであるといえる。ISPは情報の流れを作ることがサービスであり、そのためのネットワークやルータなどの基盤を必要とする。一方、IPPはISPの提供するネットワークの上に自らのサーバを置き、情報の送受信の手助けをする。階層でいえばISPはIPパケットの交換までを提供し、IPPはIPネットワークの上での各種サービスを提供するということがいえる。




     4−1.WWWと共に台頭したプレゼンスプロバイダ

     4−2.プレゼンスプロバイダの今度の可能性



     図.ISPとIPPの違い

     図.プレゼンスプロバイダのサービス(WWWサーバ)

     図.プレゼンスプロバイダのサービス(RealAudio/RealVideoなど)