4−2.プレゼンスプロバイダの今後の可能性



 IPPはWWWと共に台頭してきたため、WWWでのサービスだけが目立っている感がある。しかし、サーバを利用者に貸すというIPPの考え方は、WWWに限定されたものではない。今度IPPが活躍する範囲はより広がるのではないかと考えられる。インターネット全体の情報量が急激に増えている現状では、その内容を各接続ネットワークでそれぞれ蓄えておくことは容易ではないからである。

 現在注目されているマルチメディア関連では、IPPがRealAudioやStreamWorksなどの音声や画像専門のサービスを担当する一種の放送局の役割を担っていく可能性は高い。これらのサービスは大きなバンド幅を消費し、同時に多数のクライアントにサービスする必要がある。運用には高度な技術を必要とするので、ISPの支援も必要になるであろう。このようなサービスは、個々のコンテンツ提供者が独自にネットワークを持つよりは、IPPなどにコンテンツを集約し、管理を任せる形にしたほうが全体のコストが下がる。
 同様のサービスとして、NetNewsの記事サーバや、WWWの各ページの内容を集めて検索するサーバなどは、IPPが提供するのに適している。どちらも記事の量を数百ギガバイトで集積することで、初めて意味を持ってくるサーバなので、やり方次第では多くの需要を集めることができる。
 電子メールの配送に関するサービスも、今後IPPが独自に提供するのに適しているものの1つである。現在いくつかのIPPが行っているのは、電子メールによる同報通信の手段であるメーリングリストの開設や運用を代行するものである。個人でメーリングリスト専用のサーバを運用するのにはかなりの技術力を必要とするが、IPPが管理と運用を代行することで、自分でネットワークを持たない人でも自由にメーリングリストを介した情報交換の場を持つことができる。今度はFAXやページャなど、他の通信手段との連携を可能にしたサービスが提供されるようになるであろう。


 ※図参照(IPPサービスWWWの場合)
 ※図参照(IPPサービスRealAudio等の場合)