8、おわりに

ネットワークのオープン化による情報流通の高速化・グローバル化、特に電子 商取引の発展・普及は大変期待されている。 しかしネットワークを利用した 情報の伝達には、そのオープン性の故に、常に情報の漏洩・盗聴、改ざん、な りすましを始めとする様々なリスクが伴うものであること、そしてそれらのネッ トワークを利用した不正・犯罪行為は、単なる電子的データの操作により瞬時に行われるものであるため、それによる被害は、従来の犯罪被害に比べ、質的にも量的にもより深刻なものとなり得ることは忘れられがちである。

 しかし、近時の急速なパソコン及びインターネットの普及の実態に照らせば、 あらゆる人々ないし団体がネットワーク犯罪の被害者となり得るのであり、今 や全ての主体が自分自身の問題として捉えるべき課題なのである。そこで、よ り多くの人々ないし団体が、オープンネットワークに内在する脆弱性及び情報 セキュリティ対策の重要性についての認識を深めるとともに、各リスクに応じ た情報セキュリティ技術・製品の適切な利用を通じて、ネットワーク犯罪によ る被害を防止することが望まれるのである。


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