第2章 暗号技術とは
2−1 暗号技術とは
では、具体的に電子メールの例を説明します。電子メールは、書いた人(送信
者)と受け取った人(受信者)は、当然読むことができます。送信したメールはパ
ソコン通信ならばそのホストコンピュータに、インターネットならばプロバイ
ダにあるコンピュータに一時保存され、順次他のコンピュータにネットワーク
経由で送信されていきます。つまり、どんな場合でも送信した電子メールは受
信者の手元のコンピュータに直接届くわけではなく、必ずどこかのハードディ
スクに保存される期間があることになります。したがって、システム管理者は
やる気になればそのコンピュータを経由する電子メールをすべて読むことがで
きます。もちろんシステム管理者がそのような悪意を持っていては困りますが、
原理的には経由する電子メールをシステム管理者ならば読むことができるとい
うことになります。
<図1>電子メイルの伝送ルート
ここで用いられるものが、暗号化プログラムです。暗号化プログラムを用い
ると以上の状況をまったく変えることができ、たとえシステム管理者が悪意を
持ってメールを読んだとしても内容を知られないようにすることができます。
「意図した人意外に情報が決して漏れない」これが暗号技術です。