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6−2.NTTのOCNサービス |
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1996年2月に発表されたNTTのOCN(オープンコンピュータネットワーク)構想は、日本のプロバイダビジネスを根本的に変えつつあります。そしてOCNは事業認可され、1997年からサービスを始めている。特にOCNエコノミーは、常時接続サービスとして大きく成長している。 OCNの意味は、簡単にいえば「NTTがTCP/IPを使ったISP事業に本格的に参入する」というものである。具体的には次のサービス提供が行われている。 ・コネクションレスでベストエフォート型のネットワークサービスを提供する ・サービス価格および内容 OCNエコノミー(128kbps):毎月3万8千円 OCNスタンダード(1.5Mbps):毎月35万円 OCNエンタープライズ(6Mbps):毎月98万5千円 OCNダイヤルアクセス:毎月2,300円(月15時間まで)、 15時間以上は9円/分 ・ネットワークは以下の2つに分割 OCNバックボーン:基幹回線、他のISPとも接続 OCNアクセス:利用者への足回り回線、他のISPにも提供 OCNでは、バックボーンのバンド幅の拡張計画の方針や既存のISPとの相互接続などについての方針など、運用上不明な点が多く存在する。しかし、OCNが提示した価格は、現在のISPが提示している専用回線を使ったサービスに比べるとかなり安価に設定されている。これについては、「NTTという大規模事業者だから設定できる価格であり、適正な競争を阻害する」という非難の声も上がっているが、利用者にとっての適正な価格をビジネスプランとして提示したという意味で評価できる。 本来、インターネットはダイヤルアップのような時間従量制ではなく、常時接続で利用されるべきものである。OCNは、今後のインターネットの方向性を示す上で大きな影響を与えたといえるであろう。 一方、OCNがサービスを開始した現在、既存のISPがどのような運命をたどるかについては予断を許さないものがある。日本のISPの大多数は、安価なダイヤルアップIP接続を提供することを主にしている。しかし、OCNエコノミーの登場によって、インターネットのパワーユーザ達は、ダイヤルアップIP接続からOCNによる常時接続に移行しつつある。同様に、コストの関係で常時接続を利用することが困難だった中小企業などには、OCNは常時接続に踏み切る良い機会を与えてくれるものになるであろう。言い換えれば、OCNにコスト面で対抗できないISPは淘汰されるであろうということである。ただ、今後OCNが顧客数の増加に対応できず信頼性の低いネットワークしか提供できなかった場合は、現状のISPに対抗するだけの勢力にはなれないということも意味している。 | ||