2−3.プロバイダは透過的なネットワークサービスを提供する



 プロバイダは、TCP/IPプロトコル体系から見た場合、できる限り透過的、つまりいかなる情報も通過させるネットワークを実現している。これは、利用者のさまざまな要求に応える義務があるためである。

 TCP/IP体系には、WWWなどの広く使われているプロトコルが多数定義されている。しかし、実際に利用されているのは、これらの有名なプロトコルだけではない。

 多種多様なプロトコルの要求を実現するために、TCP/IPプロトコル体系では、ネットワークにできる限り透過的であることを要求している。言い換えれば、ネットワークはIPパケットを適切に経路制御し、できる限りエラーなく伝送すること以外はしてはならないのである。プロバイダのネットワークも、この原則は守らなければならない。

 実際にインターネットに接続されているネットワークの多くには、セキュリティ上あるいはプライベートIPアドレスの利用などの理由で、ファイアウォールなどネットワーク内部の大部分を外部から分離する仕組みが使われている。このような仕組みは、原理的にはプロバイダ側あるいは利用者側のどちらでも用意可能だが、現在は利用者側で用意するのが慣例になっている。これはプロバイダが全てのIPパケットを通すことを前提にしているからである。