8-1 『文明』と呼ばれるまで
玉木ゼミナール
責任者:上坂陽平
参加者:植松亮司、仲澤健二、王 思翰
- まえがき
みなさんが小さいころに思い描いていた未来とはどんなものだったでしょうか。子供のころ考えていた21世紀とは、都市は全部未来型の都市となり、対話型の形式で機械という機械とコミュニケーションを取りながら、自分が何もしなくても何不自由なく生活ができる。また、車は宙に浮き、行きたいところへ自動で行ってくれる。こういった考えは皆さんにもあったはずだと思います。これは単なる夢だ、ただの空想であったという人もいるかもしれませんが、未来というところは現在の考えの及ばない面が数々あるところで、将来本当にこのような未来になるかもしれないし、ならないかもしれないのです。
- 導入部
さて、ここでは情報化社会の未来と課題ということで、文明というものについて取り上げてみたいと思います。まず情報化社会というものを考えてみます。社会が情報化するとはどのようなことでしょうか。それは、社会のシステムが情報化するという意味です。システムとは、簡単には物の順序や形体などのことです。現在の情報化といえば、皆さんも使っているでしょうパソコンなどのコンピュータによるインターネットやそのネットワーク技術、携帯電話の普及に伴う通信技術などでしょうか。このような技術を用いて現在の社会の情報化していないシステム全てを情報化したものが情報化社会であります。これにより、何よりも速くなる、無駄を省きコストを軽減する、何よりも便利になる、といった「速い、安い、心地よい」が社会レベルで実現できます。
このような実現を目指して、新しい技術、社会に組み込むための方針・考えなど日々いろいろな努力がされるでしょう。このような発展・発達こそが文明への一歩です。今現在文明というものを考えてみると、メソポタミア文明、エジプト文明といった古代文明から、機械の登場などの技術文明などが考えられますが、文明と呼ばれるものはその時期にない新しいシステムが産まれ、導入され、そして定着されたものです。それが後の時代になってから「〜文明」と呼ばれます。もちろん後の時代ではそのシステムは既に当たり前になっていて、なにも考えずに使われています(これは、利用すべき便利なシステムだから使っているのですが)。確かにその時代に新しいシステムを導入している時にさすがに「〜文明」とは言いません(そのときは革命といった「流れ」ではないからでしょうか)。ということは、後の時代では当たり前と思われるほどの新しいシステムを定着させることが文明であるというのに必要であります。
現在の日本ではIT革命として情報化はそのシステムの定着に向けて着々と段階が進んでいますが、先程の「文明」というもので考えるとまだまだ年代が必要です。
- 未来の予想,予測
では、情報化が「文明」と呼べるほどのものになったとしたら、その時の社会はいったいどのような社会になっているのでしょうか。
もちろん「文明」といっているのですから、なにも考えずに情報化のシステムを利用しているはずです。そのシステムというのは多種多様で、具体例を挙げるのは難しいですが、ただいえるのは、システムを使って自分の意思を伝える際に、そのほとんどが対話型や理解型、行動型といったものが普及しているはずです。それはいわゆるロボットと呼ばれるものです。これは、情報化が「文明」になるには必要不可欠です。
現在のロボットと言えば、2足歩行ロボット・犬型コミュニケーションロボット・遠隔操作ロボットなどが挙げられますが、「文明」のロボットには、現時点においては足元にも及びません。「文明」ロボットになるためには、知能の獲得が特に重要です。しかし、人間の要求するものをすばやく理解しすばやく対応するためのAIの開発はまだまだ遅れているといっていいでしょう。また、要求を理解して行動を起こす場合、その動きがあまりにも遅いと役に立たない場合があります。行動を起こすときも、様々な情報を取り入れて処理をしながら動くわけで、やはり処理する知能が大切になってきます。
そうなると「文明」の機械は、機械自身で物を考えることができ、そして感じることさえできるかもしれません。そうなると人の表情を見ただけで何を考えているかが分かり、次にどうしたらいいかということを予測することまでできるかもしれません。そして、こうなるとひょっとしたら人間は肩身が狭くなるかもしれませんが、とにかく不自由することはなくなるでしょう。
- その時の問題点,課題とそれを解決する方法や見通し
さて、情報化のシステムはその安全性・信頼性が高くないと非常に危険な面があります。この技術を悪用して使われてしまったり、どこかのシステムが壊れてしまったとき、最悪全ての社会が止まってしまうというような事態にもなりかねません。そこで、それを防ぐ方法としてこんなものはどうでしょうか。ネットワークを人体と見立て、ネットワークに悪者が入ってきたらそれを退治する白血球(ネット警察)を、どこかが壊れたならそれを修復する血小板(ネット救急)をつくり、それらを大量にネットに放ち自動巡回させます。何か起きたらこれらがその場所へ向かい問題を解決するのです。このようになにか問題を解決するとき、まず人間のシステムを利用するのはどうでしょうか。人間のシステムはまだまだ解明されていない部分が多い非常に精密で、大変うまく機能している機械のようなものです。
一方、これらの機械は意志を持っているため機械自体が悪い考えを持ってしまうと、これはもう映画の世界です。こうなる可能性は無いと思いたいですが、こうなってしまったらその対処法はとても考えられません(そうなる前に食い止めるしかないのかもしれません)。そのため、人間によるしっかりした管理が重要になってきますが、この頃の人間はあまりにも機械に頼ってしまっているため、もしかしたら考えることや動くことさえ忘れているかもしれません。機械なしでは生きていけなくなってしまうと、もはや機械を管理するのは人間ではなく機械自身ということになり、機械が何かしていても人間には何をしているのか把握できなってしまうでしょう。人間と機械の立場の逆転が起こってしまうため、これだけはどうしても起こさせない様にしなければなりません。
- 考察,意見
さてこのような未来を勝手に想像してみましたが、実は将来こんな未来(絶対こうなるというわけではありありませんが)が確実に迫っていると言っても過言ではないのです。今、我々の世代はコンピュータや携帯電話を使って様々な情報を得たりして、それを当たり前に感じながら普通に生活をしているでしょう。しかし、親の代にしてみればこのようなことは想像も出来なかったかもしれないですし、今でもコンピュータなどをうまく使えず悪戦苦闘したり、全く受け付けなかったりしている人もいるのです。と言うことは、情報化というのは歴史的にたった4,50年しか経っていないのにも関わらずかなりの発展、発達をしていることになります。したがって、序論で「文明」になるのには年月が足りないと論じましたが、実はそう長い年月ではないのかもしれません。どれほどの時間が必要なのか、それは、これからの発展、発達の度合いに左右されるでしょう。現在の社会においてこれらは非常に求められていることです。また、技術的な発展・発達だけではなく人間の発展・発達も大切でしょう。人間と機械がうまく連携できるようしっかりと人間を鍛えていきたいものです。
- あとがき
さて、あなたの今考える未来とはどのようなものででしょうか。上記のような考え方もあるかもしれませんし、全く違う考えもあるでしょう。ただ一つ言えるのは、情報化は間違いなく「文明」となりうるものであり、それに向かって今の社会は既に動き出しているのです。このような社会に私たちが生きる上で、これからどうなる、どうしたいという考えは常に持っていたいものです。なぜなら、これからの社会を築いていくのは紛れもなく私たち自身なのですから。最後に、ぜひとも「文明」の歴史の一員として参加できる様、常に努力を忘れないでいって欲しいという言葉を、自分自身に、そしてこれを読んでくださったあなたにエールとして贈りたいと思います。