6-1 人と人のつながり
井口ゼミナール
責任者:下田進一郎
参加者:小林善人、定村佳門、大道雅俊、古城潤治、島村隆志、
落合理絵、関悠子、押野真弓、松村彰子
- まえがき
現在、巷では「情報化社会」というキーワードが頻繁に使われています。決して理系の人間の間だけではなく、テレビや雑誌においてもこの言葉を用いていろいろな展開がなされています。しかし、これらのメディアを通じて一般の人々はどのくらい「情報化社会」という言葉を理解しているのでしょうか。私たち情報科学科の人間の中でも、「情報化社会とはどのようなものですか?」という問いに対して完璧に答えられるものはなかなかいないと思います。ということは、一般の人々にとっては、「情報化社会」という言葉だけを認知してしまっていて、中身をそれほど理解していないという状況が起こっているのではないでしょうか。このままでは、「情報化社会」の歩むべき道が間違った方向へ進んでいってしまうかもしれません。また、技術だけが先行してしまって一般の人間がそれについていけなくなってしまうかもしれません。このような事態を少しでも避けるために、私たちは「情報化社会とはどのようなものなのか?」ということについて知識をつけていくことが重要だと思います。
- 導入部
それでは、我々の社会は「情報化」という観点から見るとどのような社会になっているのでしょうか?
90年代後半から、急速にIT化が進んできました。昔は、ただの計算機としてしか利用されてこなかったコンピュ−タが現在の社会では、政府機関、企業、医療機関や、個人のレベルにまでコンピュータが使用されており、今では無くてはならない存在になってきています。そして、コンピュータ同士の連携、つまり、インターネットを主とするネットワークの普及が進み、それを介したデータの交換も盛んになってきています。つまり、あらゆる「情報」がデジタル化され、それによって「情報」の公開、検索、保存が容易な社会になっているということです。
しかし、その発展に伴い、著作権やプライバシーに関する保護の問題の発生、コンピュータを使った、いわゆるインターネット犯罪の発生、それに対する法的な不備など、新たな問題が山済みになっているのが現状です。
このように「情報化社会」となってきた我々の「社会」は、この先どのようになり、どんな問題が発生するのかを考えて行きたいと思います。
- 未来の予想、予測
我々の「社会」はどのようになっていくのでしょうか?現在、普及してきているシステムや技術を参考に考えてみると、次のようになると思われます。
高速ネットワークの普及
↓
ネットワークの常時接続化
↓
それを利用するためのシステムが変化
↓
さらなるコンピュータの浸透
この先の情報化社会の未来の予想として、まずネットワーク全体の高速化が考えられます。光ファイバーが主流となり、100Mbpsオーダーの高速通信の時代になるでしょう。同時に無線化が進み、ケーブルの敷設が困難な地域でも高速なデータ通信ができるような時代になってくるでしょう。地球全体がひとつのネットワークになってくるのです。そして、高速通信時代になると、様々な分野でそれを利用しようとする変化が起こるでしょう。
例えば、従来の電話回線による一般電話からインターネット電話が主流になってくるでしょう。インターネット電話では音と共に画像も送信します。電話がテレビのようになるのです。さらにデジタルで音を運ぶのでよりクリアな音質が期待されます。
そして、これを利用して通信教育が可能になります。そうすれば家に居ながらにして、教室で行うのとなんら変わらない勉強ができます。それにより通学時間の分だけ自分の自由な時間、他のことに使える時間に当てることができます。また、通学時の交通費も浮かせることができます。
このように、コンピュータがさらに我々の社会に浸透してきます。そして、今までは"人"対"人"だったのが、"人"対"コンピュータ"になってくるでしょう。
- そのときの問題点、課題
それでは、先程の社会の変化における各過程において、発生しうる問題点、課題を考えて行きたいと思います。
まず、ネットワークの高速化、常時接続化の過程においてはセキュリティーとプライバシーの問題が取り上げられると思います。ネットワークの高速化、常時接続化により、「情報」の公開、検索がさらに容易になると、「情報」の保護が困難になってくるでしょう。そして、そこをついた犯罪が発生するという可能性があります。これは現在でもある問題ですが、このような問題は永久になくならないでしょう。
次に、さらにコンピュータが浸透してくると、人とのコミュニケーション能力の低下や実体験の減少という問題が発生してくると思います。人と人の間にコンピュータが入ってきてしまい、直接対話を行ったり、触れ合ったりということが少なくなってくるのではないでしょうか?友達や知り合いが少なくなってしまい、人間関係がおろそかになってしまって、人とコミュニケーションがうまくとれなくなってしまい、ついにはパソコンに対する過度の依存が原因で人間恐怖症になることも考えられます。コミュニケーション能力の低下とは、人としての能力の低下なのではないでしょうか?
- 問題点を解決する方法や見通し
セキュリティー問題を解決する方法としては、やはり何度も犯罪やトラブルに関してのシミュレーションを行なうしかないのではないでしょう。そして、それを防止するための法整備とセキュリティー強化が全てでしょう。しかし、この問題を完全に解決する方法はないと思います。一般社会でいろいろなケースにおいて実用してみて、どのような問題が起こるか確認していきながら、より完璧なシステムに近づけていくしかないのではないでしょうか。
コミュニケーション能力の低下や実体験の不足についてはそれなりの機会を設ければ良いのではないでしょうか。1つの例として社会科見学などの課外授業を行う、というものがあります。様々な情報を聞いていてどれだけ想像できたとしても、実際に自分の目の前で見て、肌で感じるのとでは大きな違いがあります。「百聞は一見にしかず」です。やはり実際に自分で体験するのが1番大事なのではないでしょうか。そして自分が体験したことについて誰でもいいから直接話し合う機会を持てばコミュニケーションもとることができます。現在でもこのような活動は行われていますが、急速に発展している情報化社会の将来を考えると、もっともっと増やすべきだと思います。そうすることによって心身ともに調和の取れた人間を形成し、人間関係も想像されていくのではないかと思います。
- 考察、意見
コンピュータ等の情報機器はあくまでも自分を助ける「道具」です。自分たちの行動を支援するためのものであり、より大切なことは人間同士の触れ合いであることです。コンピュータ等を通して体験するものはあくまでも間接体験や疑似体験であって、実際の生活体験・社会体験・自然体験などの直接体験こそが大切であるという認識を深めなければなりません。そして、こうした情報化の「影」の部分の持つ問題に社会全体が相互に連携・協力し合って、真剣に取り組む必要があります。「情報化社会」となって大量の情報が交錯する今、我々は適切なマナーとモラルを持って判断し、うまく情報と付き合っていかなければならないと思います。
- あとがき
結局、情報化社会がどのように発展していくのかというのは、人それぞれの気持ち次第だと思う。一般の人がこのまま「情報化社会」というキーワードに関してほとんど知識を持たないまま時が経てば、「情報化社会」は間違った方向へ進んでいってしまうだろうし、逆に一般の人に知識を植え付けられるようになったらきちんとした発展を見せるのではないでしょうか。