4-4 情報化社会の未来と課題(個人について)
高木ゼミナール
責任者:北川 寛
参加者:天住 貴子、井上 達生、川端 健太、川端 貴幸、池田 康臣、大道寺 聡、
富山 友恵、丸田 央、村井 創
- 導入
携帯電話やPCの普及が進む中、これらを用いた犯罪や企業からの不要なダイレクトメールなども増えています。これは、身元を明かさずに他人に接触できるという気軽さ、一度に不特定多数の人々に送ることができるという便利さが、逆に問題になっていると言えます。
- 未来の予想、予測
そこで考えられるのが、個人個人の身元に関する情報をコンピュータ内に保持し、管理するということです。現在でもネットを通じた取引、例えば宿泊施設の予約や商品の発注などの際に、ユーザの自己管理の元で個人情報の提供は行われています。今後はこれらの情報をコンピュータ内に常に保持し、公開するのかしないのかということもコンピュータが判断するようになれば、増えつつあるネット関連の犯罪の多くを阻止、あるいは摘発できるのではないでしょうか。
また、国民一人一人の情報がコンピュータに保持されている環境が整えば、行政にこれを利用することができ、より円滑に行政のサービスを受けられるようになります。様々な書類の発行や各種手続きを、役所に行かなくても行えるようになり、役所からの個人に対する通知などもPCに届くようになります。
更に、現在検索システムの分野などで研究されている、ユーザの要求をより的確に理解する技術が進めば、身元に関する情報だけでなく、個人が今何に興味があるのか、何を欲しいのかという、趣向に関する情報も保持できるようになります。この情報を市場調査に利用することで、企業は対象とする顧客の絞り込みや効果的な商品広告を行うことができます。個人側も、多くの情報の中から必要な情報のみを受け取ることができ、不要な情報と必要な情報を分けるという無駄な時間を省くことができます。
そして個人の趣向を的確に捉え、保持していく機能が向上すれば、いずれはコピーロボットのようなシステムがコンピュータ内に組み込まれ、それが勝手に欲しい物や情報を選んできてくれるようになるのではないでしょうか。そうなれば情報検索システムは必要なくなり、検索の枠を制限されることなく、かつ手間をかけることなく欲しい情報を手に入れることができます。
- 問題点・課題とその解決法・見通し(その1)
このような未来を実現するためには、PCの普及が大前提となります。しかし現状では、コンピュータに興味がある、あるいは必要がある人々には知識があっても、その他の人々の中には、PCに触れたことがない人さえいます。このような溝を埋めるためには、誰もが容易に使えるようなコンピュータの開発が不可欠です。たとえば、音声を認識して処理を行う会話式のPCや、テレビのリモコンのように、ボタンひとつで基本的な動作を行えるキーボードなどが考えられます。
- 問題点・課題とその解決法・見通し(その2)
また、個人の情報がコンピュータ内に保持されるようになれば、個人のIDカードとしてこれを持ち歩くようになります。よって、現在注目されているウェアラブル・コンピュータのように、いつでもどこでも使えるようなコンピュータの開発・普及が必要になってきます。
ウェアラブル・コンピュータのような装着型に限らず、PCに最低限必要なもの(CPU,HDD,MEMORYなど)以外は容易に取り外し可能になり、これを持ち歩いて、出先の端末を用いてデータのやり取りを行うことも考えられます。
このようなコンピュータのあり方の変化に伴い、環境の整備も進めなければなりません。公衆電話のように町中に端末を設置し、修理や部品の販売をコンビニなどで行うようにすれば、いつでもどこにでも気軽にコンピュータを持ち歩き、様々な面に活用することができます。
- 問題点・課題とその解決法・見通し(その3)
ここまでは、コンピュータの利用環境にばかり着眼して問題点を挙げてきましたが、個人の情報をコンピュータに保持するときに考えるべき最大の問題は、セキュリティだと思います。予想される未来の情報化社会においては、情報を盗まれてしまったり、ウィルスに感染してしまうと、社会全体がパニックに陥りかねません。
よって、これらを事前に防ぐことはもちろんですが、起こってしまった時に被害を最小限に抑え、復旧していく体制を整えなければなりません。
また、個人の情報管理に対する認識を高め、最低限の知識を身に付けさせることも、これからは必要になってくると思います。
- 問題点・課題とその解決法・見通し(その4)
上で述べたような未来を実現するための課題としてもうひとつ、情報の共有の困難性が挙げられます。コンピュータに個人の情報を保持し、これを様々な面から利用することを考えると、関係するすべてのディバイスの互換性を確立しなければなりません。このためには情報を統一するための規格を作り、適用していく必要があります。
これは容易なことではないと思います。規格を採用する際、どのように定めるのか、規格に合う製品の開発、膨大な数にのぼる既存の製品への適用など、技術的な問題に加えて、必ず企業の利害関係が絡んでくるからです。よって、企業の協力なしには情報の共有はありえないと思います。
- 考察
以上、情報化社会の未来を予想してみると、コンピュータは社会の標準というより、既存のどの家電よりも、日常生活に溶け込んでいます。これに伴い様々な問題・課題もでてきますが、すでにウェアラブル・コンピュータが開発されていたり、行政の情報化が進められているというニュースを耳にしたりすることを考えると、少しずつ実現へと向かっていると言えます。
- あとがき
これまでは企業の商品のひとつとして、PCは社会に普及してきましたが、情報化の技術が進むにつれて、社会の様々な分野を巻き込みつつあります。そして今後はあらゆる分野にコンピュータが不可欠になり、望む望まざるは関係なく、私たちの生活にも影響を与えると思います。それは今までのような受身的な構えでもなじんでいけるようなものではなく、多かれ少なかれ個人個人のある程度の知識や、積極的な姿勢を必要とします。今後の情報化社会は、分野、個人、企業を問わず国家全体が協力して作り上げていくものだと思います。