4-1 通信回線を利用したこれからの社会(個人)
疋田ゼミナール
責任者:安田 浩二
参加者:石堂 克範,久保 善輝,吉田 愛由美,依田 崇,高島 正樹,宮脇 恵麻,若杉 武史
パソコンが安価で手に入るようになったことや、インターネットなどの提供サービスの向上によって、コンピュータが一般家庭にも身近なものになって数年になります。まだまだ、十分に利用されていない家庭が少なくないことも事実ですが、これから数年後には、必要不可欠なアイテムとして、一家に数台という感じで定着していくのではないでしょうか。
しかし、個人が電子通信機器やパソコンを持つことで、便利になる反面、問題が発生することもあります。そういった便利な面、発生する問題等、予想できる未来像をまじえながら述べていきます。
- 個人の特定可能化
インターネットが普及して数年が経ちましたが、ネットで起こる問題というのも少なくありません。出会い系サイトに関する犯罪などもネットが普及したことによる重要な問題の1つです。それ以外に普及した当初から言われている問題は、ネット上における匿名性の問題です。最たる問題の1つに、個人情報の漏洩とそれに伴う嫌がらせがあります。インターネットにおいては、多少の知識さえあれば、自分の身元(接続元)をわからなくさせることができてしまいます。ですから、他人を中傷したり、他人の名前をかたって嫌がらせをすることも可能になってしまいます。
未来像:
こういった問題を防ぐ手段を考慮した情報システム化というのがなされると思われます。例えば、個人を識別するようなIDなどを国民全員に割り振り、ネットにつなぐ際にはIDとパスワードを入力無しでは受けられないようしたりするという手段があります。
体の一部を利用して利用者を特定して匿名性を奪うという方法もあります。パソコンへのログオン時やネットへ回線をつなぐ際などに、指紋や虹彩、声紋のチェックをおこない、そういう情報も一緒にネット上でやり取りすることで現在ネットにつないでいる者が何者なのかを特定させます。2002年現在で、企業の施設や銀行など、秘密保持を必要とする建物や、金庫などには指紋照合システムなどが利用されているところもあります。そのシステムをコンパクトで安価なものに改良することでパソコンなどの周辺機器として販売することができれば、実現することも可能になります。
かなり未来の話になってしまいますが、「脳内にチップを埋め込む」という案もあります。これはネット犯罪だけでなく実社会で起こる犯罪にも対処できる方法ではありますが、人道的観点、プライバシーの問題などにより実現はちょっと難しいと思われます。
課題:
しかし、個人IDにも問題点があります。
個人IDを認証する際にネットを使用して認証をおこなうため、ここに何らかの障害が発生してしまうとネットが利用できないなどの深刻な問題を引き起こす可能性があります。
もしも個人IDとそのパスワードが他人に知られてしまったり、照合データをどのような形式で送られるのかがわかってしまうと、意図的に改ざんされたデータを送信するように改造することで、他者と偽ってネットに接続することができてしまいます。
個人IDが犯罪防止の役割を果たすためには、個人IDとパスワードをキーとして検索をおこなえる個人情報のデータベースが必要となりますので、個人IDとパスワードを知られることで芋づる式にあらゆる情報が引き出されるという可能性もあります。
指紋や声紋による利用者の特定に共通することですが、誰が何時にどこのサイトを見たなどの情報が記録できますので、プライバシーの問題を絡めると、反対の人も出てくることになるでしょう。また、実際に実用化するには、利用者全員の指紋等の情報を管理しなければなりませんので、これから誕生する子供は、出生登録時に記録すればいいのですが、今の利用者の特定材料をどうするかということもありますし、情報管理の費用をどのように用意するのかといった問題や、こういった個人の特定のしくみを標準化させる運動も必要になるはずです。
- 通信の発展による生活水準の向上
ネットショッピングというものがあります。ブラウザを使ってネット上のお店をまわり、欲しい品物をネット上で購入します。品物は後日運送会社が運んでくれます。品物本体の価格以外に送料がかかってしまう場合が多いのが少し不満ですが、希少な品物を短時間で探せたりなど、大変便利なサービスです。インターネットの普及によって生まれたサービスですが、このシステムによって、今まで買い物が大変だった地域でも洋服やCD、本など、色々なものが簡単に買えるようになってきています。
こういったサービスは今後一層の発展を見せると思われ、今まで以上に、豊かな生活を提供できるサービスとなっていくことでしょう。
未来像
ネットショッピングというのは、「バーチャルショップに出かけて、欲しいものを探して買う」という言い方ができます。バーチャルというのは買い物に限ったことではありません。バーチャルシティといわれるシステムがあります。ここでいう「バーチャルシティ」は単なる地域情報を提供するサイトではなくて、個人を特定でき、他の人と話しをする(チャットをする)ことができたり、表示されたネット上の店などで買い物をすることができるというものです。
今の主流は2Dですが、コンピュータの処理速度や通信回線の大容量化によって3Dに変わって行くことになると思います。他の人との会話もチャット等の文字ではなく、テレビ電話のように、声でおこない、シンボルによって相手へ表情を伝えるようになるでしょう。
↑2Dのネットショッピング専門のバーチャルシティです。登録対象は店舗などで、利用者は買い物客です。 近い将来にはこれが3Dになったり、他の買い物客を3Dのシンボルで表示することで、チャットを交わしたりといったことが可能になります。
課題
今現在の状況として不便なのは、実際に手にとってみることができないという点です。本などを買うときもそうなのですが、本の中身は目次の紹介などにとどまってしまっているため、他の人のレビューを参考にする以外に、本がどういったものかを確かめる手段がありません。例えば有料会員登録をおこなっている人には、本の中の数十ページをサンプルとして見せたりなどもするべきだと思います。本のとき以外にも、例えば洋服で、「肌触りはどうなのか」、「サイズは完璧に合うのか」、「すそ上げは必要ないのか」などの問題があります。ネットショッピングが通常の買い物と変わらずに違和感のない存在になることが、ネットショッピングの重要な課題点ですが、実際に手にとって確かめられないということが最大の障害です。そのために、感触や匂いなどがわかるようにするための周辺機器も開発され始めています。
情報技術の開発や研究だけでなく、経済、社会からの需要がなくてはシステムの構築以前の話になってしまいます。また、インターネットでは必ず出てくる話ではありますが、セキュリティの問題もあります。買い物内容の秘守などもそうですし、支払い方法も絶対に安全かつもっと容易なやり方という仕組みを開発しなければいけないと思います。大容量のデータ通信網、大規模なホストコンピュータなども必要になりますから、企業などとの連携なども問題の1つとなりそうです。
- 情報の氾濫
パソコンの普及と情報通信網の急速な発達によって、誰でも世界中に向けて情報を発信するということが可能になってきています。年々ネット人口は増加し、情報を配信する人の数も増えています。インターネットで情報収集をおこないたいときなどがあります。大抵の場合YahooやGoogleなどの検索エンジンを使用しますが、検索をかけた際、探したい文字は含むのですが、その内容や情報をもっていないページが大量に出てしまい、情報の収集がまったくはかどらないということが往々にしてあります。
例えば、C++のプログラムで、使えるサンプルプログラムがないかを探したい時など、とりあえずC++についてのサイトを調べてその中でどういった動作をするのかの説明を見て、利用できるかできないかを順順に確かめていったりします。検索に使う単語の組み合わせの上手さが問われます。
未来像
上のような状況は個人個人でインターネットの利用の形がことなるために発生してしまう問題です。ブラウザや接続先のホストコンピュータなどのほうで使用者の職業、今まで見たサイトの情報や、趣味などから、使用者が必要としている情報を優先的に検索してくるようなシステムを研究、開発する必要が出てくると考えられます。また、情報の検索条件について、もっと幅の広い、曖昧な表現を許すようになっていったらいいと思います。上の例ならば「〜〜〜というような動作をするC++のサンプルプログラム」なんて入力で検索がヒットするのが理想の形だと思われます。
課題
使用者がどういう情報を求めているのか推測してくれるようなプログラムが必要となっていくだろうと思われます。そのため、個人情報やブラウザの訪問履歴などから、どのような情報を求めているかを導き出すようなアルゴリズムを研究する必要があります。
また、幅の広い発言に対しては、言語処理や意味解析といった技術を検索に導入し、もっと発展させていく必要があります。