3-2 通信回線を利用したこれからの社会(教育)
疋田ゼミナール
責任者:安田 浩二
参加者:石堂 克範,久保 善輝,吉田 愛由美,依田 崇,高島 正樹,宮脇 恵麻,若杉 武史
情報化によってもたらされた一番の利点は、処理が人間の何倍も速いということです。処理速度が速いということで、会社の事務に多く活用されてきましたが、事務処理は会社などだけでなく役所や学校にも多く存在します。そういった方では、学校も情報化が進みいろいろな部分でコンピュータのお世話になっています。
今現在では、企業の情報化は、インターネットの普及が進み、情報化は、単なるコンピュータによる高速処理だけでなく、オンラインに対応する形で進んでいます。学校においてもそういったことが起こってもいいんじゃないかという観点から、学校、教育の未来像を語っていきたいと思います。
- 遠隔教育の普及
「遠隔教育システム」というものがあります。パソコン等の情報端末によって授業
を受けるというもので、アメリカなどでは普及している教育システムです。メリット
は多く、
1.利用者の都合のいい時間に受講できる。
2.授業料が安い。
3.教師と双方向で授業を受けることが可能。
4.自分の取りたい授業のみを受講することができる。
などがあります。
近い将来に、「時間の少ない大人の勉強」や「子供の学校の補助」といった役割を果たす教育システムの1つとして、一般的になっていくことでしょう。
未来像
遠隔教育システムなど、都市部ではどうかわかりませんが、通信技術を活用した教育システムが普及することにより、少子化にともない、生徒数が極めて少ない地方の学校などは、なくなってしまうことも考えられないことではないと思います。少子化や過疎化にともなう子供の減少によって、インターネットなどによる遠隔教育は必要になってもおかしくはありません。
授業はすべてネット上でおこなわれるため、紙やチョークなどの消耗品を使用することによる環境破壊を減少させることにもつながるのも、遠隔授業の良い所の1つです。
また、遠隔教育一般的になることで、生徒の年齢層も、色々になることでしょう。例えば資格試験用の授業や義務教育では扱われないような高等な授業、教養授業などで、子供と老人が通信上で一緒に授業を受けるなどの場面も多くなる可能性もあります。
課題
「学校」という学び場は「物事を教える場」という以外にも、半日を共同生活する「社会勉強の場」という一面を持っていることは疑いようのない事実ではないでしょうか。そういった場所が消えてしまうことで、子供が協調性や公共心を身に付ける機会をつぶしてしまうことになります。そういった問題を解決する方法を考えないことには、こういった教育システムを採用することはあってはならないことです。例えば、授業の必須科目に、他者と答弁を繰り返させるようなカリキュラムをつけるなど、他者と言葉、意思の交換をおこなわせる授業が必要になるでしょう。
また、授業時間を選ばないという状況では、システムがコンピュータ相手のものである場合などは、自律した生活を送ることができる人でなければ、「明日でいいや」といった気持ちから授業をしっかりと受けなくなったりなどという問題もでてきます。いまの世の中で既にそうですが、目標無しで勉強に励むという人も少なくない状況です。そういう人は勉強をおこなえる環境ではなくなることは確実でしょう。こればかりは、各個人の意識の違いですから、これといった解決策というものは存在しません。
それ以外のやはりここでも、通信設備の向上ということが問題となりますし、教育を全国で受けられるようにするなどの対応もおこなわなくてはいけません。そうでなければ、都市部と田舎で教育環境に大きな差ができてしまいますし、遠隔教育は勉強に不便を感じるような農村などで一番使われるべきシステムだと思います。
通信設備に対しては、やはりこういうサービスを提供する企業がおもだってやるべきですが、国民の教育に関わる部分ですので、国が企業を援助したり、むしろ国が率先して取り組んでいっても問題はないことだと思います。
- 生徒の情報管理
中学の頃の話ですが、事務的な提出物を家に忘れて、家まで取りに帰って学校まで往復
したということがあります。私が通った中学は近かったので問題はなかったのですが、これが今の電車通学、片道1時間半ともなると、提出期限に対しては少し敏感になってしまいますが、もしもこれがオンラインで提出できたとしたら、大変便利です。
未来像
うちの大学などでも、マークシートなどで個人時間割などをコンピュータに読ませることで、情報を正確に、速く処理しています。そういった情報をもっと活用することはできないでしょうか。例えば、個人時間割の作成をインターネット上でおこなえるなどです。こうすれば資源の節約にもつながりますし、提出日を気にする必要もなくなるなど、メリットも多いと思います。授業の取り間違えによって卒業できなくなった人などがいたなどと聞きますが、そういった情報を調べるなどというサービスも追加するべきだと思います。
課題
通信がからむと絶対にでてくる問題ですが、やはりセキュリティの問題が大きいです。パスワードが他人に知られることで、いたづらで履修状況を勝手に書き換えられ、書き換えられた人の卒業が不可能になることだって起こりえます。一年分の人生の無駄遣いになるわけですから、大変重大な問題であることは確かです。
セキュリティの問題解決はやはり個人の特定が重要ですので、指紋、声紋等のチェックをおこなうことで、偽証を防ぐことができればいいと思います。
- 授業の情報化
最近の大学の授業では、スクリーンにノートパソコンからの映像を表示し、それを生徒に見せながら解説をまじえて授業を進める先生も多くなってきています。教師の情報化ということが言えると思いますが、授業に参加しているもう一方の生徒は、ノートパソコンに授業内容を書き込む人はあまり見たことがありません。
未来像
教室の座席ひとつひとつに備え付けか、または個人個人おのおのに用意するかはわかりませんが、ノートと鉛筆が不要になり、ノートパソコンに授業のノートを書くということができるようになっていくと思います。これによって、紙と鉛筆の資源消費が抑えられ、環境に役立つことでしょう。
課題
個人が用意する場合でも、学校側が席ごとに用意する場合でも、ノートパソコンを用意する費用が一番重要な問題です。ノートパソコンは今のところ値段も足踏み状態のようで、あまり安くはなっていきませんが、そのうちノートパソコンもデスクトップパソコンと同じように安くなっていくだろうと思います。
また、ノートパソコンへの入力機器の問題もあります。キーボードとマウスだと、なれている人でない限り、授業の進行についていってノートを打ち込んでいくということは難しい作業です。タブレットのように、筆型の入力機器などで、しかも、ノートに書き込むのと同じような感じで、ノートパソコンのディスプレイに直接ペン先で書き込めるように改良されると、授業には大変使いやすい形になります。
- 考察:意見
出された意見(未来像)のうちの大半が情報通信を利用したものでした。ここ数年における情報通信事業の拡大はすごいものがあり、社会における重要さも日を追ってましていっています。そうした中で、この分野にも、いろいろな問題が出現していっていることは紛れもない事実です。
我々、情報技術を専門とする人がそういった問題を解決していけたらよいと思っています。
- あとがき
疋田先生が急病で入院されまして、数週間にわたってゼミナールが休講になったため、3年が全員顔を合わせてこのレポートについて話す機会は一度もありませんでした。レポートの意見もすべてメールでやり取りしました。本当に便利な世の中だなぁとしみじみ思ってしまいます。
それにしては、普通のものには仕上がったなと自負しております。
最後に、こんなふがいない編集者に数多くの意見を下さったゼミ仲間に感謝したいと思います。どうもありがとうございました。