2-3 情報化社会の未来と課題(企業)
向殿ゼミナール:
責任者:山口 佑也
参加者:市川 耕司、大久保 亮介、大濱 宙、川崎 智基、熊倉 厚司、五條 治、
前田 暁峰、松本 麻奈美、元木 謙志
- まえがき
コンピュータを利用する人が増えてきている。そしてそれにともない情報化社会としてのめざましい発展を遂げている現在である。そして情報化社会の発展は企業に対しても重要な影響を受けている。そこで、一般的なものの見方の一つとして企業とゆうテーマを取り上げて、今後の企業での情報化社会の未来と課題について考えていこうと思う。
- 導入部
これから自分たちが、卒業して社会と関わっていくのにあたって、特に主関わっていくのは企業である。よって最も興味を持つのも企業である。一方、情報化社会の発展にともなって、企業はその発展した様々な情報システムを取り入れて発展してきた。そこでこれからのために、次の企業と企業の間の問題、企業と対ユーザ、企業の全体、企業の活動(企業内のシステムの経営の効率化という面)の4つのテーマに絞って、情報化社会の企業での未来と課題についての考えを述べたい。
- 未来の予想・予測
まずは、企業間における影響である、その一つとして、XMLによる企業間システム連携を取り上げたい。現在では、BtoB EC、すなわち企業間電子商取引が多くの企業に取り入れられています。そのなかでも主要なしくみとして、EDIと呼ばれるものが使われています。
EDIとは,Electronic Data Interchange (電子データ交換)の略で,企業間の通信ネットワ−クを通じて,受発注や請求などのデータを電子的に交換する商取引システムのことです。しかし、この方式では取引企業間でデータ交換のフォーマットを統一しなければならず,そのための初期投資が莫大なものになってしまいます。また、取引が1対1の関係にとどまってしまい、1対多や多対多の関係には対応しきれないなどのデメリットがありました。そこで、BtoB ECを円滑に進めるための新しい標準技術としてXML (Extensible Markup Language) が世界中で注目を浴び著しい広がりを見せています。XMLでは柔軟にデータの定義・変更ができるので,自社で利用しているデータ形式を複数の取引先向けに変換することが容易です。そのため安い構築費用で1対多や多対多の関係の取引にも対応できる企業間システムが可能になるのです。XMLの技術を用いたBtoBは将来多くの企業に取り入れられることでしょう。
次に、企業と対ユーザについての予測をしたい。将来において、企業は、1)効率化によるコスト削減、2)ビジネスの質を上げることによるユーザの確保の2点を徹底していくと思われる。コスト削減を徹底し、商品やサービスの開発や生産、送料以外にはほとんどお金がかからなくなっていくだろう。またビジネスの質が向上し、生産や流通がスムーズに行われ、仮想の店舗が発展していけば、ユーザはネットに接続することにより家や職場など好きな場所で、深夜や早朝など好きな時間に、なんでも必要なものを手に入れることができるようになるだろう。そして、ユーザは欲しい商品等を比べることが容易にできるようになり、市場は宣伝・広告の影響が減り、また、開発にかける事のできる予算や人員が多くなるため、企業は商品やサービスの質で勝負をするようになる。このようにして、市場に質の良い商品やサービスが出回ることになり、世界全体の発展につながるだろう。
次に企業全体に対する予測おを考えたい。現在の日本の企業では情報化が推し進められている。ただどの程度の情報化が実現しているかというのは各企業によって大きく差が開いている。ECを例にとってこれからを考えてみる。まずECとはElectoronic Commerceの略で日本語訳は電子マネー。インターネットやメールなどの電子上の世界で商品を買う時にお金を払うシステムである。このシステムはとても便利で、家にいながら自分の欲しているものを自分で探し、見て、購入できる。今現在のECにおけるお金の取り扱いはクレジットカードが多い。クレジットカードならばカードの番号と暗証番号さえ分かれば売り手側は簡単に売買ができる。これをうまく利用している企業はそうでないものと比較して、今後も伸びる可能性が高い。近い将来、今よりもっともっとインターネット世界が発展し、その需要がますます増すことは誰の目からも明らかである。ということは企業の活動の場も、実際にある店からWEB上に展開する仮想上の店へとどんどんその割合が変わっていくはずだ。そうなれば今の産業のあり方が大きく変わり、本当に実力がある(世界に誇れる技術がある)企業のみが生き残る弱肉強食の世界になる。そうなると今の企業の勢力図が大きく変わってしまうのではないだろうか?
最後に、企業の活動として、企業内のシステムの経営の効率化という面から見て予測していきたい。企業内のシステムは、どんどん経営を効率化する方向に進んでいくと思う。まず、企業内の文章は全てデジタル化され、DB化されるだろう。これによって、商談に必要な文章を簡単に検索して揃える事ができ、また、手書きと異なり統一された書式・書体で書かれるため読み間違えるということも減り、情報に対する理解の不一致ということもなくなっていくだろう。また、社内の会議や他社との商談などは自分の部署の自分の場所から離れることなく、PCなどを介して参加することになると思う。このことにより、時間ギリギリまで社内会議に参加し、商談の時間になったらすぐに相手の企業と通信するようにすることができる。さらにこれが発展すれば、自社にいる必要さえなくなるだろう。自宅にいながら上記のすべてのことを行えるようになると思う。ここまでのことで、企業の末端である社員一人一人に対して、無駄な時間や交通費等の無駄な費用を削減することができ作業が効率化される。企業全体としては、現在でも行われ始めている事だがERPパッケージが導入されていくだろう。ERPは企業全体の経営資源の最適化をめざす、企業の基幹業務全体を対象としたシステムであるので、導入されれば企業全体の経営は当然効率化される。また、パッケージソフトであるので業務拡張が行われるときでもパラメータの設定変更でほとんど対応することができる。それ以外にも、定期的にバージョンアップされるためIT技術が進歩しても自動的に対応することができるので、周りの環境に変化が生じても短い期間でそれに対応していく事ができるだろう
- そのときの問題点・課題
これから2で述べた未来の予想・予測に対する問題点や課題を述べたり、考えていきたい。
まずは企業間に関する問題点、それはまだまだXMLの認知度が低いことです。 XMLの技術自体はBtoB ECの効率化を図るためにとても有用なものなのですが、残念ながら現時点ではBtoBサーバソフトの製品はまだまだ高価なものとなっているようです。さらに、XMLを使いこなせる技術者がまだ少ないといったことも大きな課題の一つです。
次は、企業とユーザ間に対する問題点である。これらを実現するために、企業は情報システムを取り入れていくわけだが、そこで突き当たるのは、やはりセキュリティ面の問題であろう。クレジットカードの暗証番号など、ユーザの個人情報が漏洩する可能性があるような状態では誰もそのサービスを使おうとは思わないだろうし、顧客情報をライバル企業に盗まれるようでは、競争に生き残っていくのは難しいだろう。
次に、企業全体に対する問題点を考えたい。WEB上は誰もが自由に出入り・移動ができるフラットな世界である。これこそがものすごい速さで世界中に浸透し、各企業が先を競って進出している理由でもある。しかし、そういい話ばかりでもない。なぜなら善人ばかりが存在するわけではないからである。誰もが利用できるということは、誰が何をするのか予測がつかないことである。ネットは世界中に広がっているため、自国のみからのアクセスだけではない。これは最大の利点であると同時に最大の欠点である。もし他国の人間がクレジットカードの暗証番号などを入手してしまったら、誰がどう対処するのか?あるソフトの不正コピーが他国で広まったら?たったこれだけでも企業側から見た場合、非常に大きな問題がある。その原因の一つに法律上の問題がある。自分の国に犯罪者がいるならまだしも、他国、特にコンピュータの普及率が低い国では、ネット上を取り締まる法律などは到底ないのではないだろうか?あるはずがない。
また情報化を進めた上で生じる問題として雇用問題がある。例えば、金銭処理を全て自動化してしまうことにより、2〜30人の人間の仕事がなくなったとする。それらの人に別の仕事をしてもらえばよい、という意見もあるが、そう単純でもない。大きな企業であれば、仕事がなくなる人の数は半端ではない。それらの人全員にする仕事はあるのだろうか?
最後に、企業の活動として、企業内のシステムの経営の効率化という面からの、問題点を見ていきたい。PC等を介して会議や商談を行うと、重要な情報が外に漏れてしまうおそれがある。しかも漏れてしまうと、デジタルで劣化もせず、コピーも簡単に行われてしまう為、それらの情報を、漏れた事に気付く前に悪用されてしまうだろう。また、PC上で重要な事項を決定するとき、ちょっとした手違いで決定してしまうと取り返しがつかないことになってしまう恐れがある。
- それを解決する見通し
ここで4で提示した問題点と課題についての解決の見通しについて述べていきたい。
まず企業間に関する見通しですが、XMLの知名度を上げていくために、企業がXMLの技術を導入を積極的にしていき、そのために技術者の教育が重要になっていくといえる。こうして各企業が実行していくことで実現していくように思える。
次は、企業とユーザ間に対する見通しについてです。3での問題を解決する方法として、NTTコミュニケーションウェアが構築した通信販売の決済方法である、「スマートピット」というサービスを紹介する。このサービスは、ネットショッピングをするときの支払い方法で、企業側のサイトにクレジットカードの情報を送る代わりに、コンビニなどで手に入るスマートピットカードという固有の番号を持ったカードの情報を送り、金額の支払いはコンビニのレジ等で行うというものである。セキュリティの高いクレジットカード情報の代わりにスマートピットカードの情報を送るため、個人情報の漏洩を防ぐことができるのと、請求書などを発行しなくて良いため、経費の節減をすることができる。この方法ならオンラインショッピングにおいてクレジットカードの暗証番号が漏れてしまうことは絶対になくなる。しかし、これではコンビニに行かなければならないため、ネットにつないでいれば買い物ができるという手軽さはなくなってしまう。そこで、次に紹介するのは大手通信系企業5社をメインとして共同設立されたインターネット決済サービス会社「ペイメントファースト」である。これまでは、企業がインターネットをつかった決済をできるようにするためには、ユーザへのウォレット(電子財布)の配布をするためや、ユーザからの問い合わせ対応のためのコストがかかり、一方、利用者側もウォレットの設定を自分でしなければならないなど、様々な問題を抱えていた。このペイメントファーストのサービスは、企業がユーザに決済サービスを提供するために必要なサービスを代行し、利用者のウォレット情報などをサーバ上で集中管理することによって、企業の決済サービス導入コストを大幅に下げ、また利用者も簡単に安全なインターネット決済ができるようになるというものである。この方法なら確かに、ネットにつながっていれば商品を手に入れることができるし、ある程度安全にネット決済をする事ができるが、インターネットを介している以上、完全に安全だとは言えない。
次に、企業全体に対する見通しについて考えたい。法律の整備・・・まず世界中でネットに関する認識を統一することが重要である。何が悪いかを決めておかないと、その後が話にならない。これは、多少文化の違いはあっても、常識で考えればある程度はどうにかなるはずである。このときに考えることは数え切れないほどある。あるサイトに対しクラッキングをした時の罰則・商品を売買する時の税金・商品取引上の責任所在・・・またこの他にもECに関する標準化(規格化)などの種種の問題が存在する。こればかりは一企業の力ではどうにもならない。世界中の企業を交えて決定しなければならないことである。ネット犯罪の罰則などがきちんと設けられれば、今よりは犯罪が減るはずである。雇用問題・・・多くの業務が自動化されると、今までその仕事をした人たちは職を失う。若い人ならば新しい仕事に適応できるが、ある程度年齢を重ねるとそうはいかない。1つの企業だけで考えたらたいしたことはないだろうが、これを企業全体で考えたならば大変に大きな問題になる。現に今の失業率は過去最高となっている。この問題は一企業がどうということではなく。産業界全体もしくは国レベルで考えていかなければどうにもならない。そのための訓練施設を作るだとか、新しい産業を確立するだとか。
最後に、企業の活動として、企業内のシステムの経営の効率化の見通しについて述べたい。まずは、やはりセキュリティの強化しかないだろう。通信網に侵入されない為の強固なファイアウォール、送信先以外のPCでは見ようとしてもファイルが壊れてしまうというような技術の開発が必要である。二つ目の問題の「PC上で重要な事項を決定するとき、ちょっとした手違いで決定してしまうと取り返しがつかないことになってしまう恐れがある。」の対策としては、本当に重要な事柄は人間が直接アナログで決定等を行う方が良いと思う。
- 考察・意見
XMLという言葉を最近よく聞くようになったと思います。XMLの認知度は現在急速に高まりつつあるところだといえるでしょう。現時点ではまだXML技術を用いたシステムを導入していない企業でも、将来的に導入をする可能性は非常に高いといえます。
情報化社会になっていったとしても、すべてをコンピュータに任せたりせず、人間が立ち入る場所は作る必要があると思う。また、どれだけ社会を情報化しようとしてもセキュリティ技術の進歩なしには不可能なことが多いと思う。ただ、結局は人間の考えたものなので人間に破れないはずがないというのも当然の話なので、いかに防ぐ側の技術が破る側に追いつかれないように進化していくかが大切だと思う。
セキュリティについて、上記のように大きな企業が共同で設立する会社に任せるのは、いい方法だと思う。しかし、これが一般社会に浸透するためには、それらの会社がかなり大きなシェアをとる必要がある。大きなシェアをとるためにさらに多くの企業を巻き込んでいくか、もしくは国がそういった企業を設立しなければならないと思う。そういった解決法に頼らないとすれば、やはり技術面でどうにかするしかないのではないだろうか。絶対に破ることのできない暗号化技術を開発する事ができればそれに越したことはないが、それは複合可能である限りは無理なのではないだろうか。データをネット上に細切れにして送り、様々なルートを通るようにすることにより、まとまった情報として見ることが誰にもできないようにするなど、いろいろな方法が考えられると思う。すこしでも早く質の高いセキュリティ技術を開発することが、世界全体の発展につながると思う。
今まで述べてきたことは諸問題のほんの一部である。解決しなければならない問題はまだまだ多く存在する。ただ、こういう状況はチャンスでもある。新しいことに挑戦し、その成功が大きい。そして、そういった変化が将来の企業全体の構図をどんどん新しくしていくのではないだろうか?
- あとがき
これらの企業についてのことは、情報化社会についてのことだけではあるが、これから企業と深く関わっていく自分たちにはとても役に立つものである。そして、情報化社会の発展は、企業の4つのテーマだけにたいしてもこれだけ問題などがあるので、社会や世間全体からみてみると、より多くいろいろな発展や影響がでてくる。これらの変化のスピードはそれぞれであるが、しっかりこの発展や影響に対処し、対応していくことが重要である。これから企業が今回予想・予測したようになるか、どんなふうになっていくかこれからが楽しみである。それを見届けるためにいろいろアンテナを張り巡らせるとよいでしょう。