2-1 企業競争に勝ち残るためには
荒川ゼミナール:
責任者:内藤潤
参加者:石田達也、内藤裕郎、宮田貴広、新井真、伊藤真悟、末澤広務 花村初美、
久光秀明、松本芳則
- まえがき
情報システムは、企業においては今まで、企業業務を省力化、迅速化、効率化する担い手であった。その情報システムがどのように変化していくだろうか、ということをここにまとめた。企業は、今あるどのような技術を残し、どのようなものを組み入れ、その時発生する問題点にどのように対処していくのだろうか。
- 未来の予想、予測
各企業、将来勝ち残るためにITによる競争優位の確立が不可欠である。そのためには、情報システムにおいてのたくさんの対策が考えられる。まずは個々のシステムについて考えてみた。
オンライン上での経営は、まず最初に考え出されることである。EC(Electric Commerce)によって空間的、時間的削減。EC、つまり電子商取引はインターネット利用者を顧客として、ネット上でお金の取引を行うことにより、金銭のやり取りの手間を省き、時間を短縮することができ、経営には有効である。
POSなど顧客情報を活用し、意思決定支援システムを有効利用し、生産計画や販売計画に役立てる。POSなどの顧客情報をやくだてることは、企業にとって大変利益になる。その顧客情報を、意思決定支援システムを用いてどんどん複雑になっていく経営にも、これからは対応できるようになるであろう。今以上に広い領域まで、またこれからの企業経営にも、これは利用されていくだろう。
会社へ行かずとも会社と家でデータをやりとりすることで通勤時間を削減する。会社と家でのデータのやりとりは、将来商品物資という時代ではなくなり、抽象的なもの、いわばソフトなどになることも考えられる。その商品を作る過程で、会社への通勤時間を短縮できれば会社の社員としても時間を有効に利用できる上、会社での個人の場所を削減することによって空間的にも削減でき、企業にも利益が生まれるのである。これと同様に考えられるのがウェブ上で契約、会議など時間、経費を節約した事業経営である。
情報システムの普及にともなって企業のPR(宣伝)の捉え型も変化すると考えられます。IT時代の特徴として情報発信の平等化がよくあげられます。今までは、宣伝(広告)費にコストがかなりかかりましたが、例えばホームページの開設などは低コストですみます。情報システムをうまく使えば、企業にとって大きなPRとなるでしょう。しかし、コストの低さ故にこれからますます企業PRの全体量は増えていき、思ったほどの宣伝効果が期待できなくなると考えられます。情報システムによるPRはチャンスではありますが、雑然とした情報にPRが埋もれることのないような取り組みが必要になるでしょう。
次にシステム全体について考えてみた。
今まで、情報システムは部分的に最適であるものを集めたシステムである。これはそれぞれの業務で必要なものを備えたシステムであるからである。例としては、顧客情報などを分析し、効率的に対応するための「POS」や「データウェアハウス」や「SCM」や「CRM」システム構築を支援する「ERP」などである。次にこれらの説明をあげる。
「データウェアハウス」とは、経営上の課題を解決するために必要な正規化された情報資源であり、経営やマーケティング上で役立つ情報を容易に効果的に提供するシステム。ここで、データ・マイニングとは、離反したお客様のサンプルから顧客属性や取引情報、関連するとおぼしき情報を定義し、それらの情報から強く影響した要因を見つけだし、離反していないお客さまや見込客に対して離反防止のための施策を発見するなどのことである。
「SCM(Supply Chain Management)」とは、サプライチェーンの業務プロセスの流れを統合的な視点から1つのビジネスプロセス・システムとしてとらえなおし、製品サービスの顧客の付加価値を高めるべく、企業や組織の壁を越えて、ビジネスプロセスの全体最適をめざす戦略的な経営管理手法の総称である。サプライチェーンとは供給者から消費者までを結ぶ、開発・調達・製造・配送・販売の一連の業務のつながりのことをいいます。サプライチェーンには、供給業者、メーカー、流通業者(卸売業者)、小売業者、消費者などが関係しています。
「CRM(Customer Relationship Management)」とは、企業が顧客とのあらゆる取引やコミュニケーションの状況を一元管理し、顧客一人ひとりにフィットした商品・サービスの提供、効果的なマーケティング、顧客ごとに最もコストパフォーマンスの良いチャネルを選択し顧客維持コストを最適化するなど、ITを利用して顧客との関係を維持・改善し、収益を高める手段である。
「ERP」とは、Enterprise Resource Planningの頭文字を取ったものです。日本では、統合業務パッケージと呼ばれており、一言で言えば、受注・販売管理、在庫管理、生産管理、会計といった企業の基幹業務をサポートする情報システムパッケージだということができます。
しかし、企業が勝ち残るためには、この部分最適型システムを統合し、企業を一貫して管理していくように企業の方針として方向づけられていくであろう。このように統合していくことによって、高い利益を産むよりよい方法をみえるようにしたり、会社を全体的に見ることができ、悪い部分などをより早く見つけたりすることができるからである。このように高い利益となる全体最適化システムを構築するには大変ではあるが、多数の企業が目指すところとなるだろう。以上、企業が目指すであろう将来はこのようなものであると考えた。
- その時の問題点、課題
情報の流出は大変重大な問題である。ECにおいては電子マネーなどを使用する場合には、消費者の情報が必ず必要となってくる。企業と家でのデータのやりとりも、データ送信の際にいつ情報が漏れるかわからない。ウェブ上での会議や契約もその重要な情報が盗まれるという恐れもでてくるであろう。
他に考えられる問題点はこのような情報システムが発達し、企業経営が簡略化されてくることにより、人と人とのコミュニケーション不足が増えてくるであろう。例えば、家で仕事をする場合、人と接する機会が極端に少なくなる。また契約などは、大変コミュニケーションを必要とするものであり、面識もないのに契約をできたりはしないだろう。
経営の簡略化にはもう一つの問題点がある。それは企業が情報システム化を行うことで、人の必要がなくなるため、リストラ増加につながるおそれがある。これによって、国全体の景気が悪くなったのではしょうがないのである。リストラ以前に、就職できないという状況も考えられるし、必ずしもリストラなどが増えるとも限らない。システム化を行なうことによりシステムを管理する人間の必要性が増える為、システム管理での雇用が増える可能性もあるからである。このためにはシステムの管理者のスキルも課題となっていくことだろう。
システム全体で考えられる問題点は、システムを統合していくことが1つの仕事となるということである。統合するためには大変な苦労を要することが考えられる。それを構築するまでの手間が問題なのである。また、統合されたときどこか1つでも故障が出た場合にシステム全体が動かなくなり、企業活動の麻痺とならないように、そのシステムを作らなければならないために、この問題を取り除くのが難しいということである。
- それを解決する方法、見通し
情報の流出の問題については色々な場合についてそれぞれ対処していくべきだが、流出を防ぐ方法を見つけてもまた次の流出してしまう方法がでてきて、イタチごっことなりこれを完全に防ぐのは難しいと思われる。この問題の解決に至るまでには相当な時間を要するだろう。
次にコミュニケーションの問題であるが、人と人とのコミュニケーションは企業間のやりとりなどでは大変重要となる。企業はコミュニケーションを必要と考え、あまり人との接触を断つような対策はとらないだろう。断つことによって、契約をとれなかったりしたら元も子もないからである。一般化してきたPC−PC間によるテレビ電話によって相手と直接会う状況を実現し、このようなコミュニケーション不足を解消する方法もある。多少の緩和にはなると思うが、やはり実際に会って話し、コミュニケーションをとっていくことが必要であるだろう。
リストラ増加については国がある程度の措置をとることも考えられる。企業が有利になるために人件費削減は通らなければならない問題であるが、あまりにも多すぎては国の不景気につながってしまう。従って、国全体で決まりを作りそのような事態が起こらないようにしていくべきである。しかし国全体で決まりを作るのは少々難しい。そこで他の解決策としてワークシェアリングシステムも1つの解決策として考えられる。
システム統合の問題では、それぞれの統合をしていくと同時にうまく企業経営を行っていくことが必要であろう。また統合されたときに1つでもシステムダウンした場合にシステム全体がダウンしないようなシステムを作らなければならない。これも大変な時時間を要するだろう。
- 考察、感想
企業は自分の経営がうまくいくことばかり考えていて、社員のことなどあまり重大に考えていないと思う。その理由に、システム化して人件費削減などを行うおそれがあるからである。これはもっと重大な問題として取り扱うべきであると思う。
これらの問題がすべて解決されてシステム化されていくのはまだまだ先になるでしょう。
- あとがき
システム化をしていくことによって、企業はこのように優位に立つことが出来るのでるが、問題点もたくさんでてくるのである。まだシステムを統合したりするには時間がかかるとは思うが果たしてこれが日本にとって良いことなのであろうか考えさせられるところである。しかし世界全体がこのような方針をとっているので日本だけ取り残されるわけにもいかない。情報システム化によりすべてが良い方向に向かってくれれば良いのであるが。