1-5 家庭内における情報化の未来とその問題点
冨澤ゼミナール:
責任者:橋本 上総
参加者:江口 雄一、影山 太一、櫻井 泰明、鈴木 健一、鳥海 貴、石崎 毅、
宇田川 祐輔、鈴木 裕行、小野寺 信
これから、情報化社会の発達による未来の予想と問題点について考えていきたいと思います。まず情報化社会の発達により、一番顕著に影響があると思われるのが「家庭」ではないだろうか、という予測に基づき、情報化社会の発達でどう「家庭」が変わって行く可能性があるかについて述べていきたいと思います。
- デジタル情報家電の開発と家庭への取り込み
デジタル情報家電とはいったいどんなものなのでしょうか。一般的に漠然としたイメージこそもっていると思いますが、はっきり「これだ」と言い切ることはできないと思います。その名の通りに「デジタル」な「家電」ということは想像できると思いますが、実際にどのような機能や動作を持つのか具体的に述べることは難しいでしょう。従ってまず初めに「デジタル情報とは何か?」という事、そして次に今までのAV家電との違いとネット家電といったようなデジタル家電の相違点について述べてきたいと思います。
これからの情報化のキーワードは「併合」または「融合」であると思います。
パソコンのような情報技術の進歩とテレビなどの電化製品がデジタル化の進展を遂げた事によって、現在でもパソコンとテレビの境界線が曖昧になってきており、両方の特徴や技術を持った応用機器が登場し始めています。そしてこのような情報化された家電製品は、家庭内でネットワーク化されることで新たな需要も作られていくのではないでしょうか。
現在、家庭内デジタルネットワークの実証実験が政府をはじめとしたいくつかの企業が合同で行われています。その実験とは、ちょうど2001年12月から2002年1月末までの期間においておこなわれています。この実験では内容は、各戸でホームサーバ、ホームパネルといったものを設置し、PCやテレビ、ビデオ、エアコンなどの家電を相互に接続しているというものです。各戸に設置するホームパネルは、従来のリモコンとは異なった、アイコンなどの活用で情報関係に詳しくない人でも簡単に操作できるようなインターフェースにしているようです。また外部からの侵入防止やプライバシーの保護などの機能を確保するため、家庭内に設置されているホームサーバに加え、マンションなどの集合住宅ごとにコミュニティーサーバを設置し、機能の分散や二重化を図るといったようなことも行われています。この実験が上手くいけば、家庭内のデジタルネットワーク化はすぐにでも実現できるでしょう。また、今回の実験で上手く行かなかったとしても、家庭内がデジタルネットワークによって繋がれるという話はそう遠い未来の話ではないということが分かると思います。
- 家庭内における情報化社会のもたらす影響
では次に、実際にそのようなデジタル情報家電が家庭の中に入ってきた場合、家庭、家族間にはどのような影響が考えられるかについて述べたいと思います。まず今現在の私たちの生活はどうでしょうか。今現在でもインターネットやパソコンなどの利用率は年々上昇していますし、さまざまなカテゴリーにおいて情報化の波が世間に浸透していきているのは確かです。その中には社会の中で最小の生活集団である「家庭」も当然ふくまれています。この流れからこの先、間違いなく現在よりIT化の進んだ「情報化家庭」が姿を現してくることが如実に汲み取れます。以降この項ではこれから訪れるであろう「情報化家庭」について述べて行きます。
まず家庭を考える上で欠かせないものとして、「衣・食・住」という3つの言葉があげられます。これらは人間の生活行動の中でも特に欠かせることのできない行動要素であり、快適な「衣・食・住」を人間に提供する場が家庭です。情報家電の普及によるこの「衣・食・住」の生活スタイルも様変わりしていきます。
まず「衣」についてですが洗濯機、乾燥機、アイロン、エアコン、などの発達、情報化により、作業の簡略化、軽減化が挙げられます。洗濯機、乾燥機、アイロンなどは家事の中で洗濯の仕事にあたりますが、情報化されることにより生地の種類や量、品質、汚れなどを確実に読み取り、それに見合った仕事を自動でしてくれることが可能となります。クーラーやエアコンについても外界の温度や湿度、天候、季節、予報、現在の家庭内の温度、それぞれの部屋の温度などから現在の一番の快適な気温を探しだし、その気温に保っておくことができます。もっとも、これには莫大なコストがかかりそうですが市場での競争が激しくなるにつれて開発が進み、徐々に省エネルギーかつ低価格な商品が出てくる事でしょう。
では次に「食」についてです。「食」と言ったら、何といっても「料理」です。現在の料理を作る役割としては、家庭生活において大半は人の手によって調理されています。しかし今後の食生活は、徐々に人間管理からコンピューター制御へと移り変わってゆくでしょう。そしていずれは、メニューや食材の選択、管理、そして調理までもコンピューター制御のもとに行われるでしょう。その一方で、人間の手作りによる料理もまたありつづけ、そのおいしさや価値観などが取りざたされると思います。
最後に「住」についてです。「住」とは家の中での一般的な行動全てについて
を言っていますが、娯楽として、生活の基盤として、便利性として、あらゆる場面で利用されるでしょう。現在でももう既にインターネット等により家庭の中で「住」が様変わりしてきていると思います。例えばブロードバンド化に寄るLANの家庭内への浸透によって、一部のマンションやホテルなどにはすでにケーブルをさせばすぐにネットワークに繋げられるLANプラグなどが基本的なインフラとして組み込まれています。今後もこういったものが住環境に取り込まれてゆき、標準的なものとなってくるでしょう。
- 家庭内における情報化社会の問題点
ここからは、情報化社会の発達による家庭内の問題点について考えていきた
いと思います。今まで述べてきたような家庭内デジタルネットワークが成立したとすると、ネットワークを使用する電化製品のために通信時間が増大する事によって電気の消費量はかさむでしょう。家庭内における電気の生産や消費の抑制など解決策を多方面から考えて行かなければならないでしょう。
またこれ以外に考えられる問題点として、個人の認識能力の低下が懸念されます。あまりにもネットワーク上に情報が多すぎて、自分でどの情報を信用して取り入れていくかが鍵となり、これを一歩間違えると大変危険な人格が形成されると心配されます。この問題は社会道徳などの分野に入るかもしれませんが、家庭内によって情報取捨を正しく行える個々の価値観を形成させることを学ばせることも大切だと思います。
このようないくつかの問題点があるということは、情報化社会の発展が必ずしも私たちにとって良いものとなるとは限らないということであり、情報ネットワークを効率よく、しかも私達にとっての悪影響を取り除きながら利用することが大切でないかと思いました。
- 考察・感想
家庭における情報システム化はさまざまなところで議論されさまざまな予測などがすでに数多くなされています。しかし必ずしもこういった予測通りと消費者が選んでゆくスタンダードな商品が一致するとも限りません。また数多くの商品が日常的に使用されるにつれて、消費者(使用者)がそれぞれ操作方法を覚えてゆく必要があります。この操作手順を簡略化したり、誰にでも分かりやすくすることや様々な手段を用いて使用法の説明をする事がこれからの我々技術者の役目だと思います。この流れが大きくなってゆき新たなビジネスチャンスも生まれるかもしれません。次々と生まれてゆく技術、製品に私たちは期待をしたいと思います。