DAFSDirect Access File System

 

 

   DAFSの特徴

 

DAFS (Direct Access File System)とはシステム・エリア・ネットワークを活用するための、VI(Virtual Interface:仮想インタフェース)アーキテクチャをベースとする、共有ファイル・アクセス・プロトコル(*1)です。VIアーキテクチャは、通信手順から独立した新規のメモリ toメモリというネットワーキングを提供します。高スループット(*2)と低レイテンシ(*3) (遅延) のシステム・エリア・ネットワークやクラスター化された環境を実現するために設計されています。VIを使うと、アプリケーションバッファ間のバルク・データ転送が可能になります。また、OS (オペレーティング・システム)(*4) を介さないで、アプリケーションがVI対応ハードウェアへ直接アクセスすることが可能になります。DAFS は、VI アーキテクチャが持つ上記の2つの利点を活用しています。

 

(*1)コンピューター同士の間でデータやメール、メッセージ等のやり取りをするために必要な手順や方法に関する取り決めのことです。インターネットのように異なったコンピューター、異なったシステムでも同じプロトコルを使用すれば通信をすることができます。日常生活で言うと[言葉]に相当するもので、例えば片方は日本語、もう片方は英語で喋ると意思を伝えることができませんが同じ言葉を喋ると意思を伝えることができるのと同じことです。

 

(*2)スループット=一定時間内に処理する仕事量のこと

 

(*3)レイテンシとは命令が実行されてからその結果を利用できるようになるまでのクロック数のことです.

 

(*4)パソコンを動かすための基本的なソフトを指します。OSはメモリーやディスク、周辺機器などのハードウェアの管理や、ユーザーがパソコンを操作するためのプログラム(ユーザーインターフェース)の提供など、実にさまざまなことを行っています。パソコン用の OS には、 Windows MS- DOS OS/2 Mac OSなどがあります。OSの上でアプリケーションが動きます。

 

 


   DAFSに必要なネットワークシステム

 

DAFS は、様々なネットワークで実行可能な VI の転送方法を技術ベースに据えています。現状では、Fibe Channel (ファイバ・チャネル)(*5) の標準草案に基づいていたり、独自の相互接続ネットワークを実装している VI ですが、将来的には、Infiniband 標準(最後に説明する)が VI をサポートする予定です。VI TCP/IP (Transmission Control Protocol/Internet Protocol) (*6)上でも 実行できるようになれば、ギガビットや10 ギガビット・イーサネット・ネットワークでの使用も可能になります。

 

(*5)FibreChannelは一秒間に1Gbpsの伝送速度を持った超高速データ伝送ネットワークです。FibreChannelの上位層では、TCP/IP、ATM、SCSI等のプロトコルをサポートできます。これによって今までのネットワークを統合し、ストレージディバイスをネットワークに直結する事を実現できる点で、重要な意味を持っています。このためのOSやアプリケーションの開発は遅れてはいますが、近い将来ユーザがServerを経由せずに直接DISKから情報を取れるシステムができる予定です。実現されれば、無駄なトラフィックが発生せず、高速化された理的なネットワーク運用が可能になります。

 

(*6)詳しい説明はこちらにあります。 −> http://career.mycom.co.jp/skillup/tcp_ip_intro/

 


   高速通信媒体の性能を最大限に活用

 

InfiniBand等の最新の高速ネットワーク媒体の性能を最大限に引き出すことができるので、高速なファイルアクセスが可能です。

 

 


   DAFSが実現するシステム間のファイル共有

 

DAFS は多種多様な OS が同時に稼動している異種ネットワーク環境において、高速で耐障害に優れたファイルの監視を堅実に実行できるように設計されています。クライアント・マシンやファイル・サーバ(*7)で発生するエラーやフェイル・オーバーに対して堅実なキャッシュ・ロック機能を提供する仕様を持っています。 また、ユーザ認証やクラスタ・ノードへのアクセス制限など、セキュリティ機能も万全です。

 

(*7)ネットワーク内で共有しているデータやハードウェアを集中的に管理するサーバーと、それを利用するクライアントに分けて構築されるネットワークシステムです。

 

 

 


   DAFSと従来のファイル・アクセス・プロトコルとの違い

 

従来の共有ファイル・システムでは、アプリケーションがファイルにアクセスするためには、汎用ネットワーク・プロトコルとインタフェース・カードに左右されます。ネットワーク・プロトコルは、データを小さなパケット単位に分割しますので、ソフトウェアで行うパケット分割/組立という処理によるオーバーヘッド(*8)が生じます。その処理を終えたデータは、データの流れを制御する OS カーネルにバッファ(*9)されるという流れが、一般的な目的のデータ・アクセスの手順です。つまり、アプリケーションがこのデータにアクセスするためには、ネットワーク・バッファへのアクセスに必要な OS に対応するようにコンテキストを変換しなければなりません。

一方、DAFS VIアーキテクチャを利用し、ファイル共有において優れたパフォーマンスを実現するソリューションをお届けします。パケットの最適サイズの算出とパケット分割/組立処理がハードウェア上で実行されます。またアプリケーションのメモリ領域にデータを直接書き込むため、カーネルのバッファ やコンテキスト変換処理が不要になります。DAFS を導入することで、従来から稼動している共有ファイル・システムを高速かつ拡張性の高いシステムへと向上させることができます。

 

(*8)オーバーヘッドとは簡単に言うとプログラムの計算以外で処理に遅延が生じることを言います

 

(*9)バッファとは? プログラムの実行中にファイル等とデータのやり取りを行うとき、その都度メモリに書き込むか?等を指示したり、書き込むデータ長が揃ってないと非常に効率が悪いです。
そこで一度にやり取りするデータ長を決めて、メモリの中に固定したデータの受け渡しを行う領域を設定する、この設定した一時的な記憶のことをバッファといいます。

 

 

 

 


   CPU使用率の減少

 

通信にかかるオーバヘッドの削減や、 OSを介さないデータ転送により、CPU負荷を大幅に減少することができます。

 

 


   容易な管理

 

管理の容易な高速NAS型システムとして、クラスタ化インタコネクトを共用することにより、管理コストが大幅に削減されます。

 

 

 


   オープンなプロトコル

 

DAFSはDAFS Collaborative(注釈)により仕様策定がなされたオープンなプロトコルであり、現在標準化に向けて、IETF(*10)への手続きがなされています。DAFSプロトコルは、DAFS Collaborative により仕様が策定されています。DAFS Collaborativeは、20005月にNetwork ApplianceIntelが中心となって設立され、20018月時点で85を超える企業がメンバとなっています。20008月より開発者会議を開催し、仕様の策定を進め、20019月に仕様書の第1版を完成させました。現在、IETFで標準化プロセスを進めるため、仕様書第1版がInternet Draftとして公開されています。

 

(*10)IETFは、インターネット技術の標準化を推進する任意団体です。コンピュー タシステムを相互接続するため、共通の技術仕様策定を議論するグループから 発展したものです。IETFへの参加は企業等の代表としてではなく、個人として 参加することになっています。参加者は自由にIETFの会合やメーリングリスト での議論に参加することができます。IETFにおける技術標準化の議論はワーキ ンググループ(WG)を単位にして推進されます。

 

 

 

● Infiniband

Infiniband4とはサーバのCPU とI/O 専用端末間のI/O 機能をオフロードすることにより,サーバ間のトランザクション速度を高速化させる新技術のことである.Infiniband は,PCI のような「バス」技術とは根本的に異なっている.PCI のデータ経路は多数の装置間で共有される.一方,Infiniband は,他の装置と接続を共有することなく,例えばCPU とネットワークカードの場合のように,1 対1 の接続を確立する.4現在の使用では,1 チャネルを1 本のケーブルに収めたもの,4チャネルを1 本のケーブルに収めたもの,12 チャネルを1 本のケーブルに収めたものの3 種類が規定されている.10 数m までの距離は銅線で,それ以上の距離では光ファイバを利用する見込み.

● Infiniband の歴史

次世代サーバ向けのI/O アーキテクチャとしては,当初Intel 社が中心となって開発していた「Next GenerationI/O(NGIO)」と,Compaq/HP/IBMが中心となっていた「Future I/O(FIO)」があった.1999 年8 月に両者が歩み寄って「System I/O」という名称で統合を発表され,10 月に名称を「Infiniband」と変更した.規格の策定などはIntel 社を中心に設立されたIBTA(InfiniBand Trade Association) で行われており,2000 年10 月には規格書Infiniband Architecture Speci-fication Release 1.0 が発表された.

● 将来の展望

Infiniband テクノロジがまず最初に想定している用途は,サーバとリモート・ストレージ/ネットワーク機器との接続,および複数のサーバ間接続である.このほかの用途としては,パラレル・クラスタのプロセッサ間通信(IPC) 用にサーバ内部で使用することも考えられている.これまでサーバのクラスタリングでは,従来は各サーバーメーカーが独自規格によって接続していたが,Infiniband は初めてメーカーの壁を超えた統一規格でのクラスタリングが可能になるであろう.さらに,Infiniband のファブリックは数千ノードまで拡張でき,リンクも多重化が可能な仕組みになっており,可用性を高めていると思われる.そしてそのさらに数年後には,CPU の速度と次世代のソフトウェアにおけるデータ量の増加に合わせるためにInfiniband が家庭用PC に標準搭載されることが予測できる.

 

参考文献 :   http://www.pst.fujitsu.com/develop/storage/dafs/intro.html

           http://www.netapp.co.jp/products/filer/DAFS_faq.html

           http://www.intel.co.jp/jp/developer/technology/infiniband/whatis.htm

           http://career.mycom.co.jp/skillup/tcp_ip_intro/