LBM(Location Based Marketing)
高木研
責任者:早川
洋輔
メンバー:石川
拓登、白鳥 聡、関 友里、松崎 陽平、渡邊 賢司
マーケティングについて
マーケティングとは何か
マーケティングとは、満たされない顧客ニーズを発見し、それを満たす活動のことです。需要を創造する仕掛けや活動ではありません。消費者の立場で、自らの生産物に対する不平不満に思いをめぐらすことがマーケティング、すなわち売れる仕組みづくりの出発点となります。
メーカー,小売業ともに,「これまでは,よいものを、安くすれば売れるとの思いこみが強かった」との反省が聞かれます。モノやサービスの価値を決めるのは,買い手の消費者であって,供給者ではありません。「お客は王様」、あるいは「お客満足」を唱えても、実態は、「売り手都合・儲け優先」であったことが、顧客が遠のいた原因の一つだと言われています。
米国のマーケティング研究の第1人者であるフィリップ・コトラーは著書「マーケティングマネジメント」の中でマーケティングを次のように定義している。
「マーケティングとは、価値を創造し、提供し、他の人々と交換する事を通じて、個人やグループが必要(ニーズ)とし欲求(ウォンツ)するものを満たす社会的、経済的過程である」
これは次のような意味である。「ニーズ」とは、人間生活上必要なある充足状況が奪われている状態の事を言う。「ウォンツ」とはそのニーズを満たす(特定の)ものが欲しいという欲望の事を言う。つまりコトラーは、このニーズとウォンツを満たすものが製品であると説明している。ここでいう製品とは、ものやサービスだけでなく、何らかの活動、人間、場所、アイデアなどを含む。例えば「のどが渇いた」というのが「ニーズ」、また「冷たいものが飲みたい」というのがウォンツである。そして「ビール、コーラなど」が製品である。
しかしこれだけではマーケティングは成立しない。買い手は「貨幣的な価値」を提供し、売り手は「満足という価値」を提供することになる。つまりマーケティングは価値交換過程であるといえる。
マーケティングを実際に計画、実施していくには、どのような流れ(プロセス)を経過していくこととなるかを考えてみる。一般的なマーケティングプロセスとしては、@マーケティング環境分析、A標的市場の選定、Bマーケティングミックスの最適化という手順を踏んでいくと考えられている。
@ マーケティング環境分析
マーケティング環境分析とは、企業の現在置かれている状況と、今後起こりうる環境変化を分析する作業である。環境には、自社を取り巻く外部環境と自社自身である内部環境がある。これらの環境を分析することによって得られた情報が、次の標的市場選定でのツールとなる。
A 標的市場の選定
この段階では、環境分析で得られた譲歩をもとに、市場の細分化を図り、そこから標的市場を選定する。また、選定したセグメントに対し、競合相手より魅力的である事も示す必要がある。
B マーケティングミックスの最適化
選定された標的市場に対し、企業がマーケティング目標達成のために、さまざまな手段(価格、製品、プロモーション、流通など)を組み合わせていく段階である。
マーケティング・ミックス
マーケティングにおける第一段階は顧客のニーズを探すことであり続く第二段階は顧客のニーズを満たす、というところにあります。これは「商品、価格、販売経路・売り方・販売促進」活動の最適な組み合わせ-マーケティングミックスの組み立てとその実践によって実現されていきます。
ニーズ
ニーズとは,仕事や生活上での「満たされない状態」,「困っていること」を意味します。自社商品の使用場面を思い浮かべ、「どのような場面で役立つか」という商品の機能面とともに,顧客の期待・要望・関心事・困っていることについて、微細な事柄にこだわり連想することで,顧客の深層に潜むニーズを掴むことができます。
顧客の価値観やニーズは、技術革新、社会状況、ライバルの動き,商慣行などにより化します。近年は,そのスピードも早まっています。絶えず,市場動向に目を凝らしていくことが,商売繁盛のポイントでもあります。
マーケットセグメンテーション
マーケットセグメンテーション(市場細分化)とは,市場を同質のニーズを持ついくつかの集団に分けることです。
「同質のニーズを持つ集団」を見つけるのは,容易なことではではありません。セグメンテーションの切り口としては,年齢,性別,家族構成といった個人プロファイル(属性)や地域別や都市別といった地理的な条件,さらに生活信条,ライフスタイルといった感覚と感性面があげられます。
顧客層を年齢や性別などで段階別に分類し,細分化することにより,各グループに共通するニーズを比較的容易に把握することができます。こうして明らかとなった地域市場の実態に即したマーケティングの展開は,必然的に顧客との結びつきを深めます。具体的には,「ライバルの動きを見据え,当社・当店の強みを発揮し,土地柄に合った品揃え,価格,販促方法や流通経路の最適な組み合わせにあります。
LBM(Location Based Marketing)とは
では、LBMとはどのようなものかというと、利用者の位置情報を元に行われるマーケティングのことをいいます。具体的には、利用者の居住地域に合わせて近隣店舗の広告を重点的に流すというような手法のことを指します。
最近ではPSHなど携帯端末の発達を受けて、移動中に近隣の店舗を検索する、旅行先で場所に応じて観光名所への案内を受ける、店舗前を通りがかった利用者に広告を送る、などリアルタイムな位置情報を利用したLBMが注目を集めています。
ただ、この位置情報という視点の活用は何も携帯電話に限ったことではなく、例えばQUOVAのGEOPOINT技術(誰かがウェブサイトに来たときに、そのサーファーがどこにいるかを瞬時に教えてくれる技術で、どこにいるかの判断は、商用のIPアドレス空間全ての地理情報に基づいて行われる)を使えば、普通のデスクトップPCだろうがPDAだろうが「今サイトを見に来ている人が物理的にどこにいるか」をある程度まで解析でき、その位置情報を使えばさまざまなマーケティングやサービスが可能になるのです。
ただ、自分の現在位置に応じた情報を受け取ることができると期待する向きがある一方で、位置情報もプライバシーとして保護されるべきではないかとの指摘もあります。
LBM(Location Based Marketing)の実用例の紹介
〜位置情報技術
・Quova,Inc.:GeoPoint「geolocation」
商用のIPアドレス空間全ての地理情報を利用して、ウェブサイトに訪れたウェブサーファーがどこにいるかを特定するもの。技術的には、クライアントサイトがQuovaのデータセンター経由で接続し、そこでユーザのローカルサーバーを膨大なデータの中から探し出されたAPI取得する。
このデータが比較的単純ではあるがひたすら膨大であるため、位置の特定には20ミリ秒ほどかかってしまうという。また、この方法によって得られる所在地情報はダイナミックIPアドレスだけから割り出されるため大体のものでしかない。
しかし、LBMの観点から言えば、従来の広告の60%が地域単位でターゲティングしているため、この程度の情報で充分まかないきれると思われている。
MediaPlex,Incの広告主向け配信プラットフォーム『MOJO』はこれをウェブ上やバナーの広告で用い、動的なウェブコンテンツと企業のデータベースとを同期させている。これによってマーケターは、個々のウェブユーザー向けに、在庫状況、価格、顧客情報に合わせてカスタマイズしたプロモーション、広告、コンテンツを見せることができる。
・Digital Envoy,Inc.:「NetAcuity」
「geolocation」と同様、IPアドレスを使ってウェブにアクセスしてきたユーザの地理的情報を取得するもの。またそれに加えて接続のスピードも割り出すことができる為、そのユーザのネットワーク環境に応じた最適な速度で広告等のコンテンツをストリーミングすることができる。
Eye
Wonder ,Incはこれを用いて、Real PlayerやWindows Media Player などの特別なソフトのインストールが必要のないJavaを活用した、映像配信用のコンテンツによる地域別のストリーミング広告配信を行っている。
・Digital Island,Inc.:「2Way Web Services」
企業向けに
Web インフラストラクチャーのホスティングおよび管理サービスを提供するもの。Rioport,Incはこれを用いて小売りサイト、ブロードバンド事業者、無線ネット事業者コンシューマー機器メーカーなどパートナー企業に対して各ブランドで顧客に対し、デジタル音楽の配信サービスを展開できるシステムをアウトソーシングとして提供している。
・DoubleClick,Inc.:「DARTmail」
広告主やパブリッシャーに対し、顧客データ(デモグラフィック情報
(年齢、性別、職業、居住地など)、関心、行動データ etc・・・)のより高度な区分化を可能にするツールを提供しより適正にターゲットを絞り込んだ (そして、理想的にはより効果的な)
メーリングを可能にしようとしているASP型のEメール配信サービスである。
CRMソフトウェアやSFAソフトウェア等の異なるマーケティング・システムを結合させて匿名の消費者情報を管理・分析する技術を提供しているCentr
Port,Inc.は同社の『Anonymous Prospect Management』システムにこれを用い、Double Clickが扱っているオンライン広告により収集された消費者情報も利用できるようにしている。
・ViaVis Mobile
Solutions,Inc.:「Proximity Businesses」
位置情報ディレクトリ支援ソフトウェア向けのプラットフォーム製品であり、同社のGSR
(Geo-Spatial Referencing)技術を利用した音声インターフェースを取り込むことが可能である。このGSR技術とは、例えば「交番のそば」であるとか「○○通りのどこか」といった言葉を参照しユーザが興味を持つエリアの情報について、自然言語で表現された音声命令によって動作する。エリアは、ユーザの周辺でも、ある地域を通過する経路でもよく、ユーザに関係するその他の任意の地域でもよい。
GPSが利用できない場合などにGSRによって位置情報などを補完することができるらしい。Proximity
Businessesはソフトウェアプラットフォームに関して柔軟な統合性とネットワーク仕様に対応するため、各所で利用されているようである。
〜位置情報技術を用いた情報配信の例(日本国内)
・観光分野における位置情報サービス実験(長野県松本市、長崎県長崎市)
GPS機能の付いた小型情報端末を被験者に貸し出し、利用者の現在位置やその周辺の観光地や店鋪に関する情報を提供するというもの。また修学旅行等のグループの引率者向けに、各グループの現在位置を把握できるようなサービスも用意された。
情報端末はNTTドコモが提供したもので、同社が提唱したDLP(Docomo
Location Platform)に対応しており、同社のPHS通信網を介して利用者の位置情報に基づいた店鋪情報などのデータをサーバから端末に向けて送信するという形で行われた。
実験期間は2000年11月1日〜同12月4日で、セイコーエプソン(株)と(株)ロケーション・エージェントが中心となり実施された。なお松本市では一般観光客、また長崎市では修学旅行生が対象となった。
・携帯電話向けピンポイント情報配信試行サービス(北海道札幌市)
GPS機能の付いた携帯電話端末を用いて利用者の位置情報と時間それとあらかじめ登録された利用者の嗜好を組み合わせ、各ユーザに対して適切な口コミや飲食店、観光などに関する情報をピンポイントに電子メールで自動配信するというもの。また利用者が自身の欲求に応じ端末のブラウザ機能を用いて欲しい情報を自由に検索することもできた。
試行サービスは2002年5月20日〜同8月19日までKDDI(株)、(株)リクルート、(株)リクルート北海道じゃらん及びNEC(株)の4社共同で実施され、TPOに応じてユーザに情報を配信するためのシステムにはNECのTPOCASTが用いられた。
・J-スカイステーション(全国)
J-フォン(株)が2000年10月1日より行っている携帯電話向けエリア別情報配信サービス。携帯電話端末が最寄りの基地局に自動的に登録する位置情報を利用してユーザが現在いる地域の最新の天気予報、地域別の広告やタウン情報など、ユーザが好みに応じて登録した内容の情報が自動配信されるというもの。またニュースやゲーム着信メロディなどの地域によらない情報やアミューズメントコンテントなども配信される。
・インターネットITSによる車両向け位置情報サービス実験(神奈川県川崎市、愛知県名古屋市)
GPS機能の付いた車載器を被験車両に貸し出し、時間と現在位置好みに応じて広告や商店、観光情報などを自動配信するもの。情報はDSRC通信と携帯電話のパケット通信を併用してやり取りされる。
名古屋地区での実験は2002年1月28日〜同3月末まで行われタクシー70台の後部座席にタッチパネル式の画面を搭載して乗客に対しTPOに応じたグルメ情報やニュース、広告などが自動配信された。また川崎地区での実験は2002年2月8日〜同3月末まで行われ一般ユーザの車両70台の各席にタッチパネル式の画面を搭載し車両の現在位置と時間、それに行き先やアクセス先、買い物の内容などの履歴を元に学習したユーザの嗜好を組み合わせて広告や観光、商店などの催しやサービス情報などが自動配信され、ユーザが好みのジャンルを指定して自分で欲しい情報を検索することもできた。
実験は慶応義塾大学SFC研究所、トヨタ自動車(株)、(株)デンソー、NEC(株)からなるインターネットITS共同研究グループを中心に実施された。
参考URL:http://japan.internet.com/busnews/20010323/5.html
http://www.internetits.org/ja/index.html
http://internet.watch.impress.co.jp/
http://www.venture.or.jp/gv/10-03.htm