Blu-ray Discについて
(BRD)

コンピュータ設計研究室
高山裕司 鈴木隆広 中島秀憲 松井一人


1.はじめに

今回、Blu-Ray Discについて調べてみた。Blu-Ray Discとは、次世代DVDの規格の一つである。なぜ新しいDVDでなければならないのかや現在のDVDとどのように異なるか、今後の動向を含めてこれから述べていきたい。

2.なぜBlu-Ray Discなのか

Blu-ray Disc(ブルーレイ・ディスク)とは、ソニー、松下電器産業、フィリップスなど日韓欧のメーカー9社が規定した次世代光ディスク規格の名称である。メディアはCD、DVDと同じサイズだが、DVDの五倍の記録容量を持つ。DVDがようやく普及しはじめた頃であるのに、なぜこんなにも早くに新規格に取り組んでいるのか。その理由は大きく分けて2つある。

地上波デジタル放送の影響

2003年12月から地上波デジタル放送が始まる。デジタル放送では、ハイビジョン放送が主体となる模様である。ところが現在、家庭用での録画システムでデジタルハイビジョンに対応しているものはD・VHSが唯一という状況である。ちなみにD・VHSにランダムアクセス機能はなく、新しい光ディスクの規格に期待されていた。Blu-ray Discは、デジタルハイビジョン放送が2時間以上(通常のテレビ放送なら13時間以上)記録でき、現在は1層だが、今後2層にして4時間以上、データ量として50GB以上のものを開発するとしている。現行のデジタル放送と親和性が高いことも特徴の一つだ。デジタルハイビジョン放送では、ビットレートが24Mbpsだが、それを上回る36Mbpsとしたという。また、映像記録方式として国際標準である「MPEG-2トランスポートストリーム記録」を採用したことで、デジタルハイビジョン放送を圧縮なしで記録でき、映像とともに流されるほかのデータも同時に記録できるとしている。

現行のDVDからの教訓

現在、DVD記録方式が、松下・日立・東芝の「DVD-RAM」、パイオニア・シャープの「DVD-RW」、ソニー・フィリップスの「DVD+RW」の3つに分かれており、消費者に混乱を与えた。しかし、同じ轍を踏むまいとするBlu-ray Discは、書き換え可能なRAM形式がROMよりも先行して開発された。このことは、デジタル放送やブロードバンド環境の普及により、Blu-ray Discがハイビジョン録画や将来的にはコンピュータでの大量のデジタルコンテンツの保存を中心として使用されていくことを示唆している。また、Blu-ray Discは、ソニー、松下電器産業、フィリップスなどのメーカーが合同で規定したもので、世界の主要メーカーによる事実上の統一規格により、市場の拡大を狙っている。

3.Blu-ray Discの特徴

Blu-ray Discの大きな特徴として次の3つが挙げられる。

1. 最大27GBの大容量記録

波長405nmの青紫色レーザーと、開口数(NA)0.85の対物レンズに加えて、光透過保護層厚0.1ミリメートルのディスク構造を採用することにより、直径12cmの書き換え可能な相変化光ディスクの片面に最大27GBの映像データを記録することができる。デジタルハイビジョン映像であれば、高画質のまま2時間以上記録することができ、標準テレビ放送を録画する場合は13時間以上記録することが可能である。また現段階では一層であるが、2層になれば、ハイビジョン映像で4時間以上、データ量として50GB以上となる。

2. 36Mbpsの高速データ転送

高精細のデジタルハイビジョン放送やデジタルビデオカメラの高画質の映像を、高品質で記録することができる。また、光ディスクの特長であるランダムアクセス機能を生かして、ビデオカメラで撮影した映像を手軽につなぐ編集や、テレビ放送を録画しながら記録映像を再生することが可能となる。

3. 取扱いが容易なカートリッジ構造

光ディスク記録再生面の使用上のキズや汚れを防止するカートリッジを採用し、取扱いが容易である。ただ、将来的にパソコンに搭載するときに、カードリッジであると小型のノートパソコンに入るかどうかが問題になってくると思われる。

記録容量 23.3 / 25 / 27 GB
レーザー波長 405 nm(青紫色レーザー)
レンズ開口数(NA) 0.85
データ転送レート 36 Mbps
ディスク直径 120 mm
ディスク厚 1.2 mm(光透過保護層厚:0.1mm)
記録方式 相変化記録
トラック方式 グルーブ記録
トラックピッチ 0.32 μm
最短ピット長 0.16 / 0.149 / 0.138 μm
記録面密度 16.8 / 18.0 / 19.5 Gbit/inch2
映像記録方式 MPEG2ビデオ
音声記録方式 AC3、MPEG1 Layer2、他
映像音声多重化方式 MPEG2トランスポートストリーム
カートリッジ寸法 約 129 × 131 × 7 mm

4.大容量にできた理由

DVDと同じ大きさで、5倍もの容量の記憶が可能にしたのが、青紫色レーザーとそれに伴う高密度化技術だ。

Blu-ray Discでは,405ナノメートルという短波長の青紫色レーザーを用いる。レーザーを集光する対物レンズの開口数(NA)を0.85とすることにより,光スポットを微小化。従来のDVDに比べて,光スポットの面積は約1/5となる。

また,レンズの高開口化に対応した光透過保護層の厚さが0.1ミリのディスク構造を採用することで,ディスクの傾きによる収差を低減し,読み取りエラーの低減や記録密度の向上を図っている。これにより,ディスクの記録トラックピッチをDVDの約半分の0.32マイクロメートルに微細化し,ディスク片面で最大27Gバイトの高密度記録を可能にした。

5.今後の動向

Blu-ray Discの商品化はいつ頃になるかということだが、規格がようやく決まった段階で、具体的な商品化の時期は未定である。製品化に向けての最大の課題は,青紫色レーザーの開発が遅れていることだ。以前より,青紫色レーザーは寿命の短さが指摘されていた。2001年10月で,その寿命はまだ数百時間というレベルという状況だった。また,本格普及が始まったときに,青色レーザーの特許を持つ日亜化学だけの生産で果たして間に合うのかという点も懸念されるところだ。

前回、DVD規格をまとめた東芝であるが、Blu-ray Discには参加せず、NECと共同で開発したAOL(Advanced Optical Disc)を発表している。これは、Blu-ray Discと同じ青紫色レーザーを使用しており、最大の特徴は、従来のDVDと互換性があるということである。

また、松下電器産業やリコー、大阪大学などは、1.5TB(テラバイト)の次々世代光ディスクの開発に乗り出しており、2010年の実用化を目指している。光ディスクと記憶装置の市場は2012年に世界で3兆円規模になるとの見方もあり、今後、一層光ディスクから目が離せられなくなるだろう。

6.参考URL

このページを作成するにあたって、下記のページを参考させていただきました。


2003年1月15日