・はじめに

 パーソナルエリアネットワーク(PAN : Personal Area Network)とは、身体に微弱の電流を流して通信を行う手段である。
 そこで、その技術がどのように利用できるか紹介する。


・PAN とは?

 PANは、人体の伝導性と自然の電界を利用したデータ伝送手段である。
 マッチ箱大の発信/受信装置を身につけた(肌に直に触れなくても、服の上からでOK)二人が、握手をしただけで、2400bps相当の通信が可能となり、 LAN線もインフラレッドも不要である。



 今までの有線や無線による伝送方法は、大きなデータを遠くへ送る場合には有効であるが、小さなデータを手の届く範囲に送るような場合には向いていない。それは、伝送経路の確立が大変で、消費電力も大きいからである。
 しかし、送信者自身の体を伝送経路とし、流す電流を微弱にすることで、そのような問題を解決できる。

 IBM の Almaden Research Center で研究されていた。(2000年以前)


・原理

 情報は、身につけたマッチ箱大の装置に蓄えられる。
 伝送に際しては、人体に10億分の1アンペアという微少電流を流し、手で触れるだけで情報を伝えることができるようになっている。この10億分の1アンペアとは、整髪時に発生する静電気の1000分の1程度で、人体に影響は無い。
 理論上4000kbpsの伝送速度が可能と言われているが、実用化までは至っていない。


・利用例

 キャスカードのように身に付け、握手をしながらボタンを押すと相手のインフォメーションを得ることができるようにしたり、携帯電話に差し込むなど、さまざまな利用法が検討されている。

 例えば、靴にコンピュータを埋め込むことを考えてみる。
 靴は、体積や重量に余裕があるのでコンピュータを組み込むに適していると思われる。 しかし、情報の出力や表示にはあまり適していないので、例えば腕時計型の表示装置を別に用意することにする。PANを利用すれば、靴と腕時計を無線で通信することができるのでこのようなことも可能である。

 他に、

・ドアに触るだけで、施錠・開錠を行える
・受話器を持つだけで、自動でダイヤルしてくれる
・コンピュータに触るだけで、データを入力できる
・所有者が手に取った時だけ通常通り操作することのできる携帯電話やPDAが実現できる
・定期券などの情報を入れておくことで、定期券そのものを持ち運ばなくても良くなる

 などの利用例がある。


・最後に

 PANの利点は、とにかく何かに触れさえすれば情報のやりとりができるというところにある。
 PANのやりとりを制御する装置に触れることなく、複数、複種類の情報処理を行うことができるようになるかもしれない。
 人間が「結果として触れる」必要があり、また、触れられないものについてはどうしようもないという点はあるものの、人間が「私はこれをした」という実感を持つことができる。


・参考URL

http://www.almaden.ibm.com/cs/user/pan/pan.html
http://siio.ele.eng.tamagawa.ac.jp/articles/nikkeipc/column304.html


・文責

伊藤  優
清原  翼
佐藤  潤一
久保田 周平
早川  智一
高塚  剛