ECのセキュリテイー

1.セキュリティーの重要性

ECにとって、そのセキュリティーは非常に重要な要素である。
なぜなら、通信で金銭のやりとりをするわけだから、細心の注意を払わなくてはならない。
外部からの介入は、絶対に阻止しなくてはならないのだ。

現在、ECでのセキュリティーの問題は大きく分けて2つある。
まず最初に、「非対面性」があげられる。
これは、ネット上では、売り手と買い手は、お互いに顔を合わせることなく取引を行うため、
契約の意思表示がなされた時、確かに同一人物であると確認することができないというものである。
つまり、他人が勝手に自分になりすまして、契約を成立させてしまうという危険性がある。
自分には身に覚えのない請求書が、後日大量に送りつけられてくる。

次に、「データの傍受、改竄の容易性」があげられる。
これは、ECでは、電子的に取引の意思表示がなされるため、
第三者によって傍受、改竄される危険性がある、というものである。
つまり、自分のクレジット番号や、プライベート情報等が、外部に漏れてしまうというものである。

これらは、ECの普及の上で大きな障害となっており、一刻も早いセキュリテイーの強化が望まれる。



2.セキュリティーの現状

現在、上で述べたような問題点について、様々なセキュリティー技術が開発されている。
政府も、これらの問題を解決することの重要性を認識し、様々な検討を始めている。

例えば、「非対面性」の問題については、送信されたものが確かに「送信者」として表示されている者から 送られたものであることを確認する「電子認証」制度の導入が、法務省主催の研究会が発表した報告書で 提案されている。

また、「データの傍受、改竄の容易性」に関しても、送信された内容が改竄されていないことを証明する手段である 「電子署名」制度の法制化に向けた準備が進められている。

これらの技術は、送信時の人物、内容を、第三者の機関にて保存し、受信者に送られてきた人物、内容と照合し、 なりすましや改竄の有無を証明するものである。
しかし、これでもまだ完璧なセキュリティーとは言えない。
今まで以上に、より信頼性のあるシステムの開発に力を注がなくてはならない。



3.セキュリティーの今後

これらの問題点を解決するセキュリティー技術は、日々、ものすごいスピードで進歩している。
更なる技術の発展によって、より強固なセキュリティーが実現するはずである。

また、政府は、1998年5月15日に「電子商取引に関する日米共同声明」を発表し、 ECの展開は民間主導で行われること、政府は不必要な規制を回避すべきであることなどの原則を定めている。
この共同声明は、ECに対する政府の基本的姿勢を示す重要な資料といえるだろう。

現在進行形であるこれらの事柄が、より明確な結果として現れたとき、 私たちが、より安心して、気軽にECを楽しむことができるようになる。
そしてそれは、そう遠い話ではないだろう。




<参考文献>

アーサーアンダーセン著 『図解 eビジネス』 東洋経済新報社,2000年.


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