変調方式として、QPSKでなく8PSKというものを用いて、約2倍の伝送量を稼ぐ等、
ハイビジョンの伝送を主に考えて作られています。
もちろん、伝送量を稼いでいる分、雨などで電波の減衰がひどくなると映像が
映らなくなることも考えられるため、8PSKを送りながら部分的に
BPSKなどのレートは低いが、雨などでも影響は受けにくい伝送方式も
混ぜて送れる仕組みになっています。
緊急放送等はこのようにわざとレートが遅い変調方式を利用することになります。
データ−放送では、XMLを使用したデータ通信を行うことが決まっております。
変調方式が変えられる最小の単位はスロットと呼ばれる単位で計算されるのですが、
Nスロットで188バイトのMPEG TSと呼ばれるストリームデータ分を
転送できます。 変調方式により占有できるスロット数が異なり、トータル48スロット
(1フレーム)を、8PSKは1スロットずつ、BPSKは4スロットとなりますので、
それぞれN=1、N=4ということになります。 1スロットの伝送する時間は
同じなので、48スロット時間で、全スロット8PSKだと48×188バイト、
全スロットBPSKだと12×188バイトと4倍伝送量が少なくなります。
全体で8PSKを用いると56Mbps程度(詳しい値は忘れました)になります。
一般的にHDTVの放送は20Mbps程度、SDTV(普通のTVレベル)で
4〜6Mbps程度ですので、56Mに入るだけ、映像を詰め込めます。
放送事業者毎に、あなたは22スロットです。という風に割り当てがあるため、
そのスロットをどう使うのかは、放送事業者次第であり、どのような運用をするのかは
まだわかりませんが、22スロットだと8PSKの変調方式で全て送る場合、
HDTVで1ch程度、SDTVで3ch程度といわれています。
残りのスロットは、データ放送や音楽放送に使われて1スロット単位で
割り当てられます。(ラジオ等では0.5スロットということもあるが、
2事業者で1つのスロット分のデータにする必要がある)
48スロット=1フレームが8フレームで1スーパーフレームと呼ばれる単位になり、
この単位で変調方式を変えて良いことになっています。よって、放送の途中から気象条件に
合わせたり、放送する内容にあわせて変調方式を変えてくる可能性もあります。
かなりすごいシステムになっています。 アナログの場合、伝送レートを変えてしまうと
受信機が追従するまで時間がかかるのですが、デジタルシステムでは伝送レートを変えても
追従させるのはそれほど難しいことではありません。 48スロットが固定なのは、
アナログ伝送部分のレートは固定にして、デジタルのレートを変えようという意図があります。
変調のための符号化としては、ビタビ、インターリーブ、リードソロモン、ランダマイズといった
DVB-Sとほとんど変わらない技術が用いられています。 QPSKも8PSKも位相が
4分割か8分割かというだけなので、8PSKでも位相を4つだけしか使わなければQPSK、
2つしか使わなければBPSKということで、使うか使わないかだけなので、途中で変調方式が
変わるといっても特に難しいことをやっているわけではないのですが、あらかじめどこから
変調方式が変わるかということを知る必要があります。 そのために、MPEGのTS以外に
TMCCというデータを別に伝送しています。 TMCCには、48スロットのどの部分が
何の変調方式なのかというデータ−や、どのスロットがどの事業者に対して割り当てられたもの
なのかという情報が入っています。
受信するデータは、必要な事業者のデータ以外もくるのですが、
TVとしては、1chしか見れないので、普通必要ないものはデータとして受け取りません。