これまでの経緯について




 最近BSデジタル放送のニュースが尽きることはない。

 しかしながら、ふと初心に返ると何のためにBS放送をデジタル化

 しなければならないのかということが意外と疎かになっている。

 よってこの章ではそのことを念頭においてこれまでの経緯を説明する。

 1979年に発効された周波数割り当て計画によって日本はBS放送において

 東経110度の軌道位置を確保し世界で一番多くの8チャンネルを得た。

 このあと日本ではNHKやWOWOWによる放送が開始されたが、

 十数年の歳月が過ぎ去りBS放送を取り巻く環境が変わっていった。

 1995年のWRC(World Radio Communication Conference:世界無線通信会議)

 から周波数割り当て計画の見直しが議題にされるようになった。

 主に以下の3つである。


 @1979年の周波数割り当てに従って衛星放送を開始した国は日本とスペイン

  しかなく(南北米を除く)、その他の軌道、チャンネルは死蔵されている。


 A赤道直下の国々が自国で衛星を打ち上げて放送できるようになるまでには、

  まだかなりの時間が必要であり、他国が打ち上げた衛星の中継器を

  借用したほうが経済的である。


 Bこの間の通信衛星の需要の伸びは急速で、周波数が逼迫している。


 特にBのような状況において、根本的な見直しを図ろうとしたのである。

 いずれにせよ、BS(放送衛星)の8チャンネルは保持できるだろう。

 しかし、このような趨勢のなかでCS(通信衛星)は周波数の有効利用を図り、

 多数のチャンネルを確保するため、積極的にデジタル技術を導入し、

 多チャンネル化を図ってきた。

 通信サイドから見て、BSがアナログで8チャンネルのまま周波数を

 使用していることに疑問の声があがり始めた。

 さらに、地上でもPHSが流行となり約1千万台もの加入を達成し、

 周波数が逼迫してきていた。


 ここで、注目されたのが、テレビに割り当てられた電波である。

 アナログのテレビ電波1チャンネルの周波数帯域でデジタルのチャンネルが

 4〜6チャンネル確保できる。 今までのアナログ放送をデジタル化することで

 周波数の逼迫を解決しようとしたのである。




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