第3章 従来のメディアとインターネット




3−2 インターネットの特性



 インターネットには、他のメディアと違った次のような5つの特性があります。
これらの特性が、今まである程度守られてきた倫理に対し、新たに犯罪の手助けとなっています。

〇匿名性…

 現在のネットワーク上では顔や声などの身体的特徴・実名をさらけ出す必要はなく、個人はそれぞれにつけられたIDとパスワードによってのみ識別されることです。これにより、他人のIDとパスワードを入手すれば、容易にかつ完全に他人になりすますことができます。

〇不特定多数性…

 電子掲示板等にメッセージを掲載すれば、不特定多数の人間に容易に情報を伝達することができることで、また、当該メッセージにおいて自らのIDを示せば、関心あるものからの電子メールを受け取ることができ、見知らぬ者同士が容易に関係を持つこともできます。

〇時間的・地理的な無制限性…

どんなに遠い所であっても瞬時に情報を交換することができるため、コミュニケーションにおける時間的・地理的制約はなく、広域的なコミュニケーションが容易になることで、コミュニケーションが国外に及んだ場合には、国境も意味をなさなくなります。

〇場所の不要性…

 ネットワーク上では物理的な意味での「場所(土地)」が必要がないということです。

〇無痕跡性(無証跡性)…

 ネットワーク上ではコミュニケーションのすべてが電子データを活用してされるため、物理的な痕跡は残らず、唯一の痕跡である電子データは瞬時に抹消することができることです。
 このようなインターネットの特性によって、今まで通用してきた社会倫理・社会道徳が、守られるとは限らないところに問題があります。このことから、インターネットに対し、新しい対応策が必要になってきました。



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